マツダ技報 2017 No.34
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交通標識は車両に対して速度制限や通行の禁止等を知らせる”規制標識”,スリップ注意など運転上細心の注意を要求する”警戒標識”,設置した標識に対して車両の種類や区間など補助情報を付加する”指示標識”に分類される。交通標識には多くの種類があり,すべてを表示する 3.3 システムの構成 システムは,フォワード・センシング・カメラ(FSC) ,コネクティビティー・マスター・ユニット(CMU),アクティブ・ドライビング・ディスプレイ及びメーターで構成される(Fig. 9)。 3.2 開発のねらい 走行中にFSCで速度制限,進入禁止,一時停止の交通標識を読み取り,その情報をアクティブ・ドライビン-160- マツダ技報 められた。 いるが,ドライバーはさまざまな交通環境の変化や車両操作に注意を向けているため交通標識の確認を見落とすことがある。死亡事故以外でも一旦停止での不停止や,進入禁止での誤進入など,交通標識に従って運転していれば防げた事故が37.3%ある(4)。 グ・ディスプレイに表示することで交通標識の見落としを防止して安心な運転を支援するTSRを開発した(Fig. 8)。ドライバーが意図せず速度制限超過している状況ではドライバーに危険が迫っていることを瞬時に理解させ,すぐに判断・操作に移れるよう速度超過警報を”表示”もしくは”表示と音”で警告する機能を選択可能とした。 ことはドライバーにとって情報過多となるため,ドライバー操作の緊急性から表示する交通標識を選択した。ドライバーがブレーキ動作を伴う標識をPriority1とし,アクセルペダル操作を伴う標識をPriority2,ハンドル操作を伴う標識をPriority3と設定しアクティブ・ドライビング・ディスプレイに表示を行った(Table 1)。2016年に商品改良したアクセラ,アテンザ,CX-3のアクティブ・ドライビング・ディスプレイ装着車では”一時停止標識”,”進入禁止標識”,”速度制限標識”を表示,2017年に3.1 事故の実態 交通事故全体における速度制限超過による死亡事故件数は13.9%と非常に高く,速度制限内に比べて約12倍の発生率である(4)。道路を安全に走行するための速度制限や,事故の発生しやすい箇所には交通標識が設けられてFSCによって,道路上の交通標識を読み取り,車両の挙動から読み取った交通標識が自車に対する交通標識でCMUのカスタマイズ設定画面で,交通標識の表示”ON”,”OFF”が選択可能である。また速度超過警報の警報パターン”OFF”,”警報表示のみ”,”警報表示+警報音”が選択できる。速度超過警報を設定した場合に,ドライバーが現在表示されている交通標識の速度制限に比較No.34(2017)商品改良したCX-5のアクティブ・ドライビング・ディスプレイ(フロントガラス照射タイプ)装着車では,表示領域の拡大に合わせて”追い越し/はみだし禁止標識”を表示した。 あるかを推定し,自車両に対する交通標識と判断した場合にアクティブ・ドライビング・ディスプレイに交通標識を表示する。 Fig. 8 Traffic Sign Recognition System Priority1Priority2Priority3FSCDetect Traffic SignEstimateDriving PathDecide Traffic Sign*指示標識を含む Driveway restriction (Limit driving on ego lane) *Included supplemental sign 警戒標識(ハンドル操作) Driveway restriction (Limit driving near lane) Table 1 Priority of Traffic Signs 規制標識 (ブレーキ操作) Regulatory sign (stepping on the brake) 規制標識 (アクセル操作) CMU Customize MeterSpeed Limit Caution Buzzer Warning Fig. 9 System Architecture Active DrivingDisplay Display Traffic SignDisplay Warning 3. 交通標識認識システム(TSR)

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