マツダ技報 2017 No.34
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(2)車室内事故 主に車両停止状態では,ドアに手や足を挟んだ,顔や体を (3)走行時の身体に与える悪影響 Infant Injury And Death (4)お母さんのストレスが子どもに及ぼす悪影響 -164- ①Catch Hand In Door ②Hit Head and ③Catch Hand In Window 16.3% 2nd 1st 1st 2nd 3rd マツダ技報 これは,ドライバーだけでなく,同乗者や他の車両や歩行者などへも寄与する安全思想である。 一方,走る歓びは,ドライバーだけが満足すれば得られるものではない。周囲に気になることがあると運転に集中できない。助手席や後席に座る同乗者の安全や快適性が守られていることが自身の安らぎとなり,走る歓びにもつながる。とりわけ,子どもについては,大人に比べれば体が小さく身体も弱い,大人には想像しがたい行動をとることがある。子ども目線での商品づくりも欠かすことができない重要な要素である。 クルマに関係する子どものリスクとして,交通事故,車室内事故(主に車両停止状態),走行時の身体に与えるクルマ酔いなどの悪影響,お母さんのストレスが子どもに及ぼす精神的な悪影響が考えられる。 (1)交通事故 交通手段別の交通事故死傷者数を見ると,幼児(6歳未満)では自動車乗車中と歩行中の死傷者数が多く,小学校入学以降,学年が上がるにつれて自転車の死傷者数が増えているのが分かる(Fig. 2)(1)。 乗車中の事故において,幼児(6歳未満)ではチャイルドシートの不適正使用とチャイルドシート不使用を合わせNo.34(2017)ると死傷者数の40%を占めている(Fig. 3)(1)。 強打した,パワーウィンドウに手・足・首などを挟んだ,で全体件数の3/4を占めている(Fig. 4)(2)。 ⑥Get Food Caught In Throart ⑤Heatstroke 1.2% ④Get Burned 0.9% 主に,クルマ酔い,揺れ・音・臭いなどによる疲れや不快感が考えられる。 クルマ酔いの年齢別頻度によると,大人に比べると子どもはクルマ酔いになりやすいことが分かる。10~19歳が最も多く,その後,徐々に少なくなっている(Fig. 5)(3)。 見逃されやすいのが走行時のストレスである。運転者,主にお母さんに運転の余裕がないと,運転挙動に不自然さが生じるだけでなく,表情や行動にストレスが現れ,それが子どもに敏感に伝わって子どものストレスになると考えられる。 マツダは(1)~(4)の実態を踏まえながら,子どもやお母さんに対しても優しいクルマづくりを目指している。 Before Entering Kindergarten Before Entering Elementary School Fig. 2 Traffic Accident of Kids Fig. 1 MAZDA PROACTIVE SAFETY Infant Fig. 3 Seat-Belt Usage for Kids Fig. 4 Accident in Vehicle Proper Use Improper Use 8% 58% 20%40%60% 30~39 20~29 Fig. 5 Motion Sickness 40~49 50~59 Use Child Seat : 66% 2.6% ⑦Others 18.0% 25.5% Body 35.5% Frequency of Motion Sickness Not Use Child Seat : 32% 4th 5th 6th Means of Transport Others Pedestrian Bicycle Vehicles Elementary School Junior School 3rd (Under 6 Years Old) (n=100655) 0%2~9Years Old 10~19 Wearing Seat-belt Non-wearing Seat-belt 11% 21% Unknown 2% 80% 100% 60~69 70~79 80~89 Men Women 3. 子どもに潜む危険

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