マツダ技報 2017 No.34
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2.2 高性能センタービーム Fig. 1に現行デミオのTBAとSEBを用いたTBAの比較を示す。現行デミオのTBAに対し,SEBを用いたTBAはセンタービームとトレーリングアームとの結合部分の断 *2~4 技術本部 *1 シャシー開発部 -169- No.34(2017) 2.1 クラッシュドパイプ式センタービーム センタービームの主要な機能として,①タイヤを支持 論文・解説 マツダ技報 ことで,レーザー溶接に求められる接合部の間隙の精度を確保した。それにより,板曲げ溶接成形の生産性の良さと鍛造法での品質を確保しつつ,周長可変の形状を一般的な汎用設備で生産可能な素管の成形方法を確立させた。本稿では,その取り組み内容について報告する。 Summary 中~小型乗用車において軽量化と車両運動性能を両立させるためにTBAが広く採用されている。TBAは車両前後方向に配置され車体とタイヤをつなぐ左右のトレーリングアーム部と,車両左右方向に配置され左右のトレーリングアームをつなぐセンタービーム部からなるシンプルな構造であり軽量化に優れる。一方で,車両運動性能に対しセンタービームの剛性の寄与が大きく,センタービームをいかに設計するかで車両運動性能のポテンシャルが決まる。このTBAの運動性能進化を可能とするセンタービームの理想構造実現に向けて,開発部門,生産部門が一体となって技術開発を行った。 する機能と②車両のロール姿勢を制御する機能がある。要 約 トーションビームアクスル形式(以下TBA)のセンタービームにおいて,車両運動性能を進化させるSmart Expand Beam(以下SEB)を開発した。SEBは周長可変によりねじり剛性,質量をそのままに曲げ剛性を大幅に高めるものである。鍛造技術をプレス加工に用い,管の外周と内周の弾性回復量の偏差を極小化する①の機能には曲げ剛性を高く設定することが有効なためセンタービームとトレーリングアームとの結合部断面を大きくすることが有効であり,②の機能にはねじり剛性をある適切な値とする必要があるためねらいにあわせて車両中央部の断面を決める。また車両軽量化のために最高の質量効率でこれらの機能を実現しなければならない。 センタービームは鋼板の形状及び板幅を任意に変更することで各断面を成形した中実断面からなるものと,鋼管から形状を変更することで各断面を成形した中空断面からなるクラッシュドパイプ式と呼ぶものに大別される。後者は質量軽減に有効であり,マツダでは2014年9月発売の現行デミオからこれを採用している。 On the center beam of torsion beam axle, Mazda developed “Smart Expand Beam” for improvement of the performance of vehicle dynamics. SEB increases bending stiffness of the center beam without increases of torsion rigidity and mass. Typical forging method was provided by stamping, the requirement of narrow gap for leaser welding is achieved. Providing compression stress to all portions, difference of elastic removal both inside surface and outside could be minimalized. As the result, with satisfaction of high productivity by stamping, welding assembly and high quality of forging, the forming method of pipe with variable diameter was established by using popular facilities as follows. 髙橋 浩之*1 Hiroyuki Takahashi 中土 信之*4 Nobuyuki Nakado桑子 俊*2 ShunKuwako 川口 秀明*3 Hideaki Kawaguchi高性能トーションビーム開発 1. はじめに 2. センタービーム理想構造の導出 Chassis Development Dept. Development of High Performance Torsion Beam Production Engineering Div. 30
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