マツダ技報 2017 No.34
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Table 1にGC ratioを変えた場合のひずみの比較を示す。 Table 2に密着に必要な荷重の比較を示す。 -173- (b)Form with Compression Fig. 19 Comparison of Shape of Rolled and Forged (a)just Formed No.34(2017) 3.6 O成形の結果 マツダ技報 主ひずみの値で,+の線長で大きさと方向を示す。 ここで上部(以下地球儀になぞらえて北極と呼ぶ。)では圧縮のひずみが周方向に発生しているが,ほぼ同等のひずみが長手方向に発生している。この部位は他の部位と境界条件が異なり長手方向への拘束は材料の接触部分の摩擦力だけであり,他の部位に比して自由に長手方向に伸びたものと考える。これは塑性変形のしやすさを示し,生産技術的な形状の付与の可能性を示す。 また,赤道部分の板厚増加は顕著である。南半球は金型との摩擦があり北半球成形時の加圧力の法線方向の力*摩擦係数分の拘束を受け材料は変形しづらい。赤道部分はバウシンガー効果の影響で変形が促進されたものと考える。O開始直前の金型との接触状況をFig. 18に示す。 Fig. 16にパイプ成形後の板厚分布の実験とFEM解析の比較を示す。実験はGC ratio 1,1.5,2,3%で行った。実験とFEM解析は良い一致を示している。 Fig. 17にGC ratio 1.5%のひずみ分布を示す。数値は圧縮率に比例してひずみ量は増えるが,その変化は赤道部分で最大で,主に南半球のひずみ増加となり,北半球のひずみ量はほぼ同じであることが分かる。また,780級の材料は0.3%のひずみで塑性域に入るが,周長可変の素管形状の場合GC ratio 1%でも全域圧縮の塑性域に入っていることが分かる。これはFig. 8で示した材料の展開時の余肉を成形させたことによるものと考えられる。Fig. 18で示したように芯金のない成形であるためGC ratio 3%を超す圧縮を与えると座屈が発生した。幾何学的形状と縦弾性係数で決まる座屈強度と圧縮力で座屈発生の有無は決まる。780MPa級の高張力鋼板は引張り強さ780MPaを下限保証するものであるが,座屈に対して表裏の応力差の影響を考慮する必要がある。 O成形品は人力で加圧することで密着を得ているが,ロール成形品は人力では密着を得られない。 Fig. 19にO成形品とロール成形品の断面の比較を示す。Fig. 15 Shape of U-Formed and Pre-Bended Fig. 16 Comparison of Thickness between Empirical and FEM Result Fig. 17 Effect of Deference of Boundary Condition Fig. 18 Effect of Friction and Bauschinger Effect Table 1 Effect of Geometrical Compression

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