マツダ技報 2017 No.34
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4.3 フォルム・・・剛性感と上質さ シートや加飾部の造形では,SUVらしい力強さと上質さを融合させたフォルムを追求した。シートデザインでは -13- No.34(2017) 4.2 質感・・・仕立ての良さ インストルメントパネルやドアトリムなど,人の手が直マツダ技報 接触れる箇所には可能な限り滑らかな手触りの素材を採用するとともに,パッドにも厚みを持たせて触感を高めた。 インストルメントパネルからリアのドアトリムに至るまで,アッパー部にはリアルなダブルステッチを採用。また素材の工法,色,シボ,艶を統一した。ステッチではあえて太めの糸と粗目のピッチを選択し,上質さとともにSUVにふさわしい強さを表現した。加飾パネル下のミドルパネルやニーパッドにもソフト素材を採用したほか,天井材やAピラーの素材,荷室側壁への不織布採用,グローブボックス内への植毛など,素材見直しによって仕立ての良さを追求し全体の質感を大きく向上した。 更に,インテリア全体でパーティングの隙や段差の減少など基本的なクラフトマンシップのレベル向上にもこだわることで,細かな要素に至るまでデザインの意図をクリアに表現した(Fig. 12)。 しっかりと厚みのある座面,立体感のあるサイドのボルスターやショルダーの造形と質感高い縫製によって,力強さと安定感,そして上質な仕立ての良さを表現した。レザーシートでは,シート全体に帯状の縁取りを持たせ,そこにステッチ色を差し入れることでモダンさを演出。ファブリックシートには緻密で滑らかな触感と立体感をもった新開発の布地を採用し,精悍さを際立たせた。 立体的な造形が特徴的な空調ルーバーはエンジンルームからつながるダクトをイメージしている。柔らかいインストルメントパネルを貫通する造形とし,SUVらしい力強いアクセントとした。 デコレーションパネルには,天然のウッドのような温かみと金属の持つ力強さを融合させた新開発の加飾フィルムを採用。7層もの印刷とコーティングを重ねることで,深5.1 ソウルレッドクリスタル 「カラーも造形の一部」という思想のもと,魂動デザイ みのある表情を備えた新しい表現とした(Fig. 13,14,15)。 ンの造形美をより質感高く際立たせるために,ソウルレッドプレミアムメタリックでつくり上げた生命力にあふれたエネルギッシュな強さと鮮やかさ,濁りのない深みと艶感,緻密で硬質な質感を更に進化させ,高次元で両立させた。ソウルレッドプレミアムメタリックと比較して,彩度を約2割,深みを約5割増したことで,より瑞々しく艶やかなFig. 12 Door Trim Fig. 13 Front Seat Fig. 14 AC Duct Fig. 15 Decoration Panel 5. カラーデザイン

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