マツダ技報 2017 No.34
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-17- No.34(2017) 4.1 フロントサスペンションタワー部の剛性向上 シナリオとその達成手段 フロントサスペンションタワー部のねじり挙動から圧縮マツダ技報 ントサスペンションタワー部と同様に,圧縮荷重が集中する部位に着目し,マッチ箱変形抑制の肝となる結合部位を見極め,Fig. 7に示す3部位へ圧縮方向の変位に大きな効果を発揮する高剛性発泡充填材を設定した。 まず,No.4クロスメンバーとデュアル・ブレースとの結合部に設定した高剛性発泡充填材は,リアダンパートップから入る荷重によってキャブサイドが車両室内側に倒れようとする挙動を抑制している。この部位を別の手段で補強すると,厚板のレインフォースメント追加による質量増加や断面拡大による室内寸法阻害の要因となってしまうが,高剛性発泡充填材追加によりそれらの問題をクリアした。更に,同じくCピラーの内倒れ抑制としての機能を持つサスハウジングガセットの負荷を減らすことができ,同部品の板厚ダウンによる軽量化も達成した。 このほかにも,車体構造上接合が困難であったルーフサイドレインの接合部や,リフトゲート開口部剛性向上に効果的なリアエンドコーナー部にも高剛性発泡充填材を設定することで力の伝達ロス低減を図った。 4.2 リアボディーのマッチ箱変形抑制シナリオとその 達成手段 リアボディーの基本的な構造は,先代同様SKYACTIV-BODYの特徴であるデュアル・ブレース構造やリアダンパートップ取り付け部からCピラー,ルーフサイドレインへ連続して結合する環状構造を踏襲した。その上で,フロアンダーカバーの材質をPP材からPET繊維材に変更することで吸音特性を持たせ,車室内への音の侵入量を低減した(Fig. 5)。これにより,会話のしやすさの指標を先代に対して改善した。更に,この材質変更により2.75kgの軽量化も実現した。 新型CX-5は,ドライバーだけでなく乗る人全てが移動する時間を楽しむことができる人間中心の車を目指し開発を行った。具体的には,機械的な応答を高めドライバーのインプットのみならず,車からのフィードバックを向上させることで車体のねじれによる力の伝達ロス低減をねらった。性能上寄与度の高い部位を見極め,効果的な部位に効果的な手法を織り込むことを達成シナリオとした。それを各部位へ適用することで,ねじり剛性を先代比15.5%向上させ,車を意のままに操る楽しさや,同乗していて疲れにくい車両性能を実現した。本章では,その構造事例を紹介する。 荷重が集中する部位に着目し,その圧縮荷重に耐える適正な構造を追求した。具体的には,フロントダンパートップ間をつなぐクロスメンバーの直線化やサスペンションタワーとの結合位置の適正化及びサスペンションタワーとダッシュアッパーをつなぐレインフォースメントを追加することで剛性向上を図った(Fig. 6)。 Fig. 5 Sound Absorbing and Insulating Floor Undercover Fig. 6 Rigidity Improvement of Front Suspension Tower 4. 操縦安定性

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