マツダ技報 2017 No.34
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*4 車両実研部 *1~3 NVH性能開発部 -20- 特集:新型CX-5 4 1 マツダ技報 新型CX-5では,「ドライバーだけでなく,乗る人すべてが快適に過ごせる車室内空間」をお届けするため,前モデルからの大幅な静粛性向上を目指した。静粛性の開発にあたり,従来からのロードノイズや風騒音の指標に加えて前席と後席の音圧差や音の減衰時間といった新しい指標を用いてそれぞれに高い目標を設定した。目標達成のため,音源の低減,音響伝達特性改善,振動伝達性能改善及び車室内音響特性改善の開発を行ったが,その開発には音の時間変化の分析や可視化などNVHのCAE解析技術や実験評価技術を駆使し,新型CX-5の上質な車室内空間を実現した。 Summary 新型CX-5では,「乗る人すべてが快適に過ごせる車室内空間」を目指した。静粛性において快適とは,高速道路でも普段と変わらない穏やかな声で会話が楽しめ,荒れた路面でも乗員に不快感を与えないことである。 本稿では,そのような静粛性の実現のために,お客様視点で設定した新型CX-5の開発指標と,それを具現化したNVHの開発技術について報告する。 2. 静粛性の指標 新型CX-5は,従来のお客様への提供価値である「安心/快適」に「乗る人すべてに」と「上質」を加えた静粛性の指標と定量目標を設定した。 「高速走行時の静粛性」は,高速クルージング時の会話のしやすさとして,会話の明瞭度指数のAI値(1)(Articulation Index)を定量指標に用いた。会話明瞭度はザー/バサバサと聞こえる高周波のタイヤ騒音や風騒音を低減させることで向上し,快適な高速クルージングができるようになる。また,「荒れた路面での静粛性」は低周波の不快なロードノイズを低減させることで向上し,路面状態が変化しても煩わしさを感じることなく,運転ができるようになる。 No.34(2017)要 約 NVH Performance Development Dept. TakuyaFujita2.1 静粛ゾーン 「安心/快適」をお客様へ提供するための基本的な静粛性指標は,2016年に北米に導入したCX-9の開発から採用している「高速走行時の静粛性」と「荒れた路面での静粛性」を用いた。 永本 光一*1 KouichiNagamoto富士田 拓也*4Vehicle Testing & Research Dept. TakayaKatsuragawa 桂川 貴弥*2 粟根 正浩*3 Masahiro Awane新型CX-5の静粛性開発について In the quietness development of the All-New CX-5, our aim was to achieve a significant improvement from the former model to offer all occupants a comfortable cabin. We set high targets not only for conventional indices but also for new ones such as "Sound pressure gap between front and rear seats" and "Sound decay time". For the targets achievement, we developed the decrease of the sound source, the improvement of sound transmission performance, the improvement of vibration transmission performance and the sound performance improvement in the cabin. We worked on these indices making use of CAE analysis as well as testing evaluation technology which analyzes temporal variation and visualization of sound. This way, we realized a quality interior space of the All-New CX-5. 1. はじめに Quietness Development for All-New CX-5

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