マツダ技報 2017 No.34
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3.2 進化に向けた取り組み まず低音域の進化に向けては各スピーカーが担う機能の見直しを図り,ドア振動に特に影響の大きい60Hz以下の低音域再生機能を,フロントドアのウーファーから,重低音再生に特化した新設計の130mmウーファー内蔵ベースボックスに分離することで,重低音をパワフルに進 また,高音域の進化に向けては高音域再生に特化した新設計のネオジムツイーターを採用することで,4kHz以上においても上質で緻密な高音域再生を可能にした。Fig. 4はネオジムツイーターを基準としたときの既存ツイーターとの周波数特性比較である。更にはパッケージにおいてもツイーターをAピラーにレイアウトすることで高音域の進化に貢献している。 -27- Acceerati l2 50 onm/sBdNo.34(2017) New CX-5新型CX-5初代CX-5Original CX-5100120140160180200マツダ技報 ピーカーをメインスピーカーとして搭載し,ねらいの音響空間を実現した。具体的には全ての再生周波数を前方に集中させることで,自然で連続性のある音場を実現した。 その一方で,低音域については,フロントドアの大口径ウーファーの大出力は副次的に発生するドア振動とトレードオフとなるため,更なる高出力化が困難である。また高音域についても車両の静粛性の向上を背景に,より高性能な高音域専用スピーカーが必要になってきた。 化させただけでなくドア振動の更なる改善も実現した。Fig. 3は初代CX-5と新型CX-5でのフロントドア振動を比較した結果である。 1412108642020406080Reference: New designed tweeter の耳に届くまでにガラス面,樹脂部品,シートなどによる短距離での反射,吸収を繰り返すことで,非常に複雑な音響特性を示す。このため各スピーカーの再生周波数帯域に応じて適切な場所にスピーカーをレイアウトする必要がある。特にツイーターは指向性の高い高音域を担うため,スピーカーの正面軸周辺の構造により音響特性が低下してしまう。これは遮蔽による直接音の減少や,反射音との干渉による周波数特性の変化が発生するためである。 そこで新型CX-5では,Aピラーへ搭載することで周辺構造物による影響を抑え,ツイーターの性能を発揮できるレイアウトを実現した。しかしレイアウトを成立させるにあたっては,ツイーターのレイアウトスペースを確保することが課題であった。Aピラーのボディーとトリムとの間には空調用ダクトやカーテンエアバック,各種ハーネスがひしめき合う構造となっており,まずは周辺部品の形状を,性能を確保しながら変更,少しずつ空間を広げていった。しかし形状変更だけで生み出せる空間には限界があったため,最終的にはツイーターおよびスピーカーグリルを回転させながら後組みするという工夫で,周辺部品を掻い潜りながら組み付けるレイアウトを成立させた。 また内装デザイン性の向上を狙ってスピーカーグリルの外周には全周シルバーの加飾を施した。装備開発部との協創活動により,リングの輝きを確保しつつ太陽光等の反射が乗員の目に入ることがないようにリングの曲面を設計,機能と質感の両立を実現した。リングに刻まれたBose社のロゴは,乗車位置から眺めて自然に見えるように工夫したマツダ専用デザインである。Fig. 5にAピラーツイーターの外観を示す。 3.3 パッケージにおける進化点 車室内においてスピーカーから放射された音波は乗員-5-10-153k 4k 5k 6k 7k 8k 9k 10kFrequency (hertz)Fig. 3 Front Door Vibration Fig. 4 Frequency Response Comparison between New Tweeter and Previous Tweeter Frequency (hertz) 20kFig. 5 Appearance of A-Pillar Tweeter

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