マツダ技報 2017 No.34
35/207

4.1 シート材質によるEQ最適化 布シートは革シートより表面の吸音率が高いため,中 4.2 チューニングの結果 測定を通して得られた各スピーカーからの時間軸,周 -28- Bd 4204 マツダ技報 ここまでに述べてきた進化点をサウンドシステムとしてまとめ,整合をとるためにチューニングを施し新型CX-5専用のEQを設計する。サウンドチューニングを実施するにあたり,まず車室内のあらゆる場所の音響データを取得し,乗員の体格の違いによる耳位置や,シート素材の差異までも考慮した分析を行うことにより,車室内の音響空間を正確に把握する。 高域の音圧レベルが下がる傾向にある。その一例としてFig. 6に,革シートを基準としたときのリアドアスピーカーの運転席における周波数特性比較グラフを示す。このシート素材の違いは,車室内の音の周波数特性や目の前に広がるサウンドステージの印象までも変えてしまう。今回のシステムでも布,革それぞれ専用のチューニングを施し,アンプが車両からシートの装備情報を受け取り,適切に切り替えを行う。 Reference: Leather rear door speakers 波数軸のデータやシート素材の違いによる車室内の音の周波数特性などの分析結果をもとに,チャンネルごとにEQを設計した。最終的にはマツダ及びBose社の両社による聴感評価を反映させることで,各スピーカーが性能を余すところなく発揮できる新型CX-5専用のEQを設計できた。これにより,全ての席においてまるでライブコンサートのように明瞭なサウンドが広がるマツダサウンドを実現した。 このたびマツダは新型CX-5専用のBoseサウンドシステムを開発,商品化した。初代CX-5からの進化を目標に開発をスタートし,ここまで述べてきた一連の開発を通して,ねらいどおりの高い音響性能を伴うマツダサウンドを実現できたと自負している。このマツダサウンドをマツダブランドとして認知いただくため,今後もマツダはBose社と綿密に協働し,全てのマツダ車でお客様の期待を超えるマツダサウンドを実現し,届け続ける。 注:Bose,AUDIOPILOT,CenterpointはBoseのNo.34(2017)登録商標です。 Fig. 6 Frequency Response Comparison between Cloth and Leather Seats -2-4-6-8-10102Frequency (hertz)1031044. サウンドチューニング 5. おわりに

元のページ  ../index.html#35

このブックを見る