マツダ技報 2017 No.34
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切り替え制御 気筒休止状態から4気筒運転へ移行するときの制御ロジ 4気筒運転移行時のスムーズな切り替えの実現 休止している気筒は,筒内に閉じ込めている空気が徐々にクランクケースに抜けていくため,Fig. 9 に示すとおり気筒休止継続時間に応じて筒内圧力が下がっていく。筒内が負圧になることで4気筒移行時に排気バルブが開くと同時に大量の排気ガスを吸い込み,その結果次の吸気工程で吸い込む空気量が低下する(Fig. 10)。このメカニズムにより気筒休止中の燃焼気筒と休止気筒では4気筒運転への移行直後の筒内状態量が大きく異なる。状態量の差により Fig. 11 に示すように,点火時期遅角時の燃焼安定性を低下させ,点火時期とトルクの関係が崩 これらの制御を採用することで,Fig. 12 に示したようにエンジン回転数の変動を抑制するとともに車両前後方向の加速度変動を抑制することができた。 -38- マツダ技報 ックを以下に示す。 A) 休止していた気筒のバルブ駆動を再開するとともに燃料噴射を開始する。 れるが、トルクショックのないスムーズな切り替えを実現するため,以下の制御を織り込み,各気筒の筒内状態に応じた適正な燃焼を実現した。 吸入空気量と温度から気筒休止移行瞬間の初期の筒内圧を決定する。その後,気筒休止中のエンジン回転やクランクケース内の圧力などを用いて休止気筒の筒内圧をリアルタイムに推定し、この推定筒内圧と吸排気バルブタイミングやインテークマニホールド圧力などから4気筒運転移行時の休止気筒内の排気ガス量と空気量を正しく推定する。 No.34(2017)B) 4気筒運転再開直後は空気量過多であり,適正な空気量になるよう空気量を絞っていく。また空気量過多に対し,点火時期を制御し目標トルクを維持する。 逆に4気筒運転から休止するときは,B)空気量調整と点火時期調整によるトルク制御,A)バルブ作動と燃料噴射の停止,の順に制御する。 (1) 休止気筒の筒内状態推定 (2) 筒内状態に応じた適切な点火時期の決定 Fig. 10 の特性をもとに,燃焼安定性限界を超えない範囲内で要求トルクを実現できる点火時期を決定する。 Fig. 8 Driving Area of Deactivation Fig. 9 Cylinder Pressure after Deactivation Fig. 10 Charging Efficiency at just after "Deact. to Act." Fig. 11 EGR Influence on Combustion Characteristics

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