マツダ技報 2017 No.34
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-58- マツダ技報 28年前,初代NAロードスター(以下,NAモデル)のNAモデルは,本格的なスポーツカーとしての成り立ちを持ちながらも,手ごろな価格,初心者でも扱える自然な性が高く開閉しやすい幌,一般乗用車と変わらぬ維持費等,それまでのスポーツカーの常識を覆すような「人への優しさ」を兼ね備えて生まれ,世界中のファンを魅了した。 あれから28年の歳月が経ち,クルマの利便性への要求は高まり,相対的に,二人乗りのオープンカーのハードルは高くなっていった。しかし,ロードスターが元々持っていた「誰もを幸せにする」志を継承するには,今一度,オープンカーへのハードルを下げる努力をするべきではないかと思った。そういう意味では,このロードスターRFは,「守るために変えていく」という理念を最も象徴しているかも知れない。 普通に考えれば,守ろうとすれば「変える」ことは怖い。しかし,変えなければ守れないものもある。ロードスターにとって守るものは「誰もを幸せにする」ことであり,それを大切にした。「屋根が全て格納されないロードスター」を創ることは怖かったが,このスタイルを見て,このオープンカーに乗ってみたいと思っていただける方が増えると信じている。そうなれば,オープンカーを敬遠する気持ちも少なくなり,素晴らしい人生の体験が加わり,より多くの方に幸せになっていただける。 その一助として,ロードスターRFが役目を果たせることを願ってやまない。 ■著 者■ 中山 雅 No.34(2017)が本来もつ柔らかさや風合いを感じることができる。 反面,通常よりもデリケートな革になり,お客様自身にある程度お手入れしていただく必要があるが,それもまた,よりクルマに愛着が湧き,使っている間に想いが深まっていくといった,ロードスターらしさの表現だと考えて採用した。 また,この革の特性を表現しやすい色としてオーバーンという赤褐色の色を採用した。この色は,多くの人が革の色として想起しやすい色でもあり,温かみや優雅さを感じていただけると期待している。インストルメントパネル下部も同色にすることで,ツートーンの明るいインテリアコーディネーションとすることも意図した(Fig. 19)。 カタログ1ページ目には,「だれもが,しあわせになる。」との象徴的なコピーが入っている(Fig. 20)。 二人乗りのオープンカーは,購入する側にとってはハードルが高い。しかし,ほんの少しの勇気をもってこのクルマを選べば,きっと誰もが幸せになれるに違いないという想いが込められており,逆に言えば,誰もを幸せにすることが,このクルマの使命であることを宣言していると思う。 操縦性,二人分の週末旅行用の鞄が十分に入る荷室,耐候Fig. 18 Nappa Leather Fig. 19 Auburn Interior Fig. 20 Brochure of NA Model 7. おわりに
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