マツダ技報 2017 No.34
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4.4 外観精度の確保 -63- No.34(2017) マツダ技報 理想のライン実現のため,構造面ではモーター・ギアの配置により極限までコンパクトな機構とした。それでも足りない分は組み立てラインでの搭載軌跡の変更やガイドを設けて搭載時の振れを抑制する工夫で対処した。また,リアルーフが大型化したことによって,合い沿い保証が難しくなるが,この実現手段については後述する。 このラインは,デザイン/設計/生産の共創により,妥協なく造り上げたものと言える。 (2) Bピラーフレーム追加 Bピラー部はリアルーフ,サイドウィンドウ,ミドルルーフの3部品が重なる部位であり,シール構造の設計難易度が高い。ウェザーストリップをリアルーフ,もしくはメインリンク側に固定する構造が考えられるが(Fig. 9 Alt.1,2),可動部品同士でシール性能を保障することは困難と判断し,ピラー内部へ固定式のフレームを追加する構造とした(Fig. 9 Alt.3)。 これにより,シール部の剛性確保と位置精度保証が可能となり,必要なシール面圧を確保することができた。また,精度を安定させるため,フレームの固定部はアジャスト機構を備え,傾きを調整できるようにした。フレーム本体は複雑な断面で,剛性も必要なため,アルミ押し出し材を採用した。 完成車の目標公差を満足させるため,各ルーフアッセンブリーは高い精度が要求される。しかし,多数の部品で構成されており,それぞれの公差積み上げでは成立しない。そこで,リンク取付部,ストッパー締結部を0.5~1.0㎜のシムで調整する構造とした。 調整量は自動で算出され,ラインタクト内で調整が完了するようにした。 (1)調整構造 (2)位置決めと量産品質維持 リアルーフはミドルルーフ,リアフェンダー,トランクの3部品に接しており,量産において,各部品間の面や隙間を揃えることの難易度は高い。しかし,外観品質上,重要な部位であるため,公差の目標は高く設定した。 目標達成のため,構造的には4隅に左右方向を規制するウェッジ,上下方向を規制するストップラバーを設定した(Fig. 10)。 しかし,リアルーフの位置精度はシール反力や締結部の位置バラツキの影響も受けるため,これを解析やユニットテストで実証し,各構成部品の公差,拘束部品の仕様に反映した。 また,長期的に見た維持管理も重要である。リアルーフとフェンダーの段差など,外観上,重要な部位は工程能力有無だけではなく,中央値の変化有無も管理している。また,完成車だけでなく車体,ルーフアッセンブリーなど,各工程において,継続的に管理している。 量産に至るまでには,多くの困難な課題を克服する必要があったが,開発当初に掲げた目標を実現することができた。クルマの価値観が多様化する中,どのように評価されるのかを注視しつつ,そのフィードバックを基に初代から受け継いできたコンセプトをより向上させるために進化を継続させていく所存である。 ■著 者■ 松本 浩一 Good○ Minimum○ Alt.2 Main Link B-Pillor SealRear Roof Wedge & Dovetail Alt.3 Fixed Fig. 10 Locating of Rear Roof Stopper Tighten & Adjust(By Sim) Rear Roof Kinematic Wedge & Dovetail 5. おわりに ■Weak ■Fully Seal Performance Side Window Travel Alt.1 Attached To Rear Roof Attached To B-Pillor SealWindow B-Pillor Seal Fig. 9 Rear Roof Study
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