マツダ技報 2017 No.34
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2.2 「モノ造り革新」の必要性 お客様を感動させるレベルの価値提供を実現するには, 「フレキシブル生産構想」とは,「コモンアーキテク 3.2 「モノ造り革新」の特徴 3.2.1 共創活動~構想と工程の同時開発 「モノ造り革新」の特徴のひとつは,Fig. 4に示す活 第1に,高い競争力と展開性を長期的に兼ね備えた構造と工程を実現するために,現状を前提としない「理想構 -71- No.34(2017) 3.1 取り組みの考え方 「モノ造り革新」は,Fig. 3に示すように,製品設計に関する「コモンアーキテクチャー構想」と,生産方法マツダ技報 また,初代CX-5を始めとする新世代の商品以降では,取り組みの重点が更に進化し,「お客様視点の提供価値の追究」へ,ステップアップさせてきた。そして「お客様の期待を超える価値」を実現させる要素として【「魂動」デザイン】・【人馬一体】・【燃費】の3本柱を定義し,モノ造りに関わる全ての部門(デザイン・開発部門・生産部門)が,達成すべきビジョンとターゲットを共有し,共創活動を通じてモノ造りを追究していった(Fig. 1)。 「人間中心」のクルマ造りを具現化した競争力のある多様な商品を,タイムリーに提供することが必要である。しかしその反面,スケールメリットを得ることは難しくなってしまう。「モノ造り革新」では,Fig. 2 に示すように,クルマ造りのプロセスを革新し,市場ニーズへの個別対応力とスケールメリットのトレードオフを打破することで,多様な商品の開発・生産を,単独車種の開発・生産に迫るビジネス効率で実現することを目指した。 に関する「フレキシブル生産構想」そして両者を結び付ける「一括企画」により構成されている。「モノ造り革新」のポイントとなるのは,「一括企画」である。「一括企画」は5~10年のスパンで,今後必要となる商品と技術を予測し,全商品をまとめて企画する独自の方法である。将来にわたる商品の全体像を把握することで,多様性と共通性を両立させる製品設計と生産方法を導き出している。 「コモンアーキテクチャー構想」は, 製品に要求される性能を,各構成要素に配分して実現するための,製品設計の基本コンセプトである。従来は,車種ごとに開発を行いそれぞれに個別最適を追究したため,構造が車種ごとに異なり結果として工程も車種ごとに異なっていた。「コモンアーキテクチャー構想」では,車格や排気量の違いを超えて各ユニットの理想を追究した基本コンセプトを共通化し,相似形のような設計とすることで,CAEによる解析を容易にして高効率な開発を実現している。チャー構想」に基づき設計された製品を,高効率かつ柔軟に生産する独自の生産方式である。多様な製品に対応できる混流ラインを並べ,ライン・工場間の製品移管にフレキシブル性を持たせることで,お客様ニーズや市場要求に合わせた生産車種の追加や生産量の変動及びモデルチェンジなどの変動に対して,品質・コスト・納期を満足する生産対応を可能にしている。 動の進め方である。 Fig. 2 “Monotsukuri Innovation” Fig. 3 Purpose of “Monotsukuri Innovation” Fig. 4 Approach to “Monotsukuri Innovation” 3. 生産技術領域の「モノ造り革新」の進め方

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