マツダ技報 2017 No.34
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③ ①で算出した応力状態をソリッド要素に引き継ぎ,下 これらの課題解決に向けて,評価領域をアプローチ部② 仮想円Aの弦と同じ長さ,位置になるよう仮想円Bの位置合わせを行う。この時の共通の弦における各仮想円での矢高を算出し,仮想円Aの矢高から仮想円Bの矢高を引いた値を評価指標とする(Fig. 9)。 -78- マツダ技報 要領に適したソリッド要素による解析要領を以下のように構築した。 ① 平板状態から下型接触直前までの成形過程を製品形状全体でシェル要素を用いて計算する。 死点までの成形完了過程を計算する。 ッド要素で計算する。 この解析要領により従来と同程度のリソースにより微細な現象の再現を実現し業務適用を図った。 しを判断するために定量的な評価要領の確立が必要となった。当初,ソリッド要素の板外側と評価平面の断面線を曲線化し,頂上部で曲線上の3点からR値を算出することで定量化を実現した。しかし,この評価要領では二つの課題が顕在化した。 (1) 頂上部のみの評価指標 魂動デザインのキャラクターは幅方向の断面線でみると,フィレットRのような一定の曲率はなく,非一様の曲率を持つ曲線としてとらえることができる。よって頂上部から算出したR値では頂上部のみの先鋭さは把握できるものの,アプローチ部の様子を評価することができないためデザイナーの想いと乖離していく可能性がある。 (2) 折れ線からの曲線化時に生じる形状のばらつき 化がより大きくなり,妥当な値を得るには入力調整の繰り返しが必要となった(Fig. 8)。 4.2 CAEで再現した現象の定量的評価方法の確立 ソリッド要素により再現した現象から,方案の良し悪も含めたキャラクター全体とするとともに,連続的な情報への変換を必要とせずメッシュや折れ線など離散化された情報のまま扱うことを念頭に評価要領を検討し,GOM社製ソフトウエアGOM Inspectを用いて評価手順を実現した。手順の大まかな流れは以下のとおりである。 ① 基準となる製品形状のCADモデルに対して,定義した評価平面とキャラクター部での断面線を得る。この断面線の両端を線分で結び弦とし,断面線との偏差が最小となる仮想円Aを定義する。CAEモデルについても同様に仮想円Bを定義する。 当評価指標ではこれまでの課題の解決に加え、正の値であれば仮想円Aの半径に対して仮想円Bの半径は小さく「キャラクターがきつい」,負の値であれば仮想円Bの半径は大きく「キャラクターが薄い」という値の正負符号とデザイナーが想い発する言葉との相関性を確立する可能性を見出すことができた。当評価指標をこれからの机上段階での作り込みでの指標とした。 No.34(2017)② キャラクター部内で鮮鋭さを確認する部位を選定し,鮮鋭さを阻害する現象が評価可能な大きさと要素サイズのソリッド要素を配置する(Fig. 7)。 ④ 除荷時の応力解放によるスプリングバック現象をソリCAEモデルと評価平面の交線は折れ線で表現される。折れ線をNURBS曲線化する際に次数やセグメント数などを与えるが,入力値の変化に対して出力曲線の形状変Fig. 7 Arrangement of Solid Elements Fig. 8 Difference of Shape by the Parameter Fig. 9 The New Evaluation Index

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