マツダ技報 2017 No.34
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5.2 机上検証での前提条件の具現化 机上検証結果を実機で再現するには検証において設け -79- No.34(2017) 4.3 デザイン意図を再現させる補正方案の作り込み CAEで明らかになった現象への対策として,成形後のパネルがデザイナーの想いどおりになるよう,金型形状のキャラクター部に補正を織り込む必要がある。 マツダ技報 CAE結果より明らかになった成形によるデザイン意匠との違いの度合いに応じて,キャラクター頂上部をCADモデルと比較し,より先鋭になるよう,しかし,「きつしかし,従来の金型形状面設計では意匠面を編集する作業は稀であり作業可能な設計者も限られていた。そこで,キャラクター部の補正要領を確立するべくデザイン部門に協力を得ながら,ともに取り組みを行った。 デザイン部門との会合で最初に行ったことは,デザイナーが発する言葉とCADモデルとの相関性を見出そうと,今一度,デザイナーが想うキャラクターの意図を深く理解することだった。次に,具体的な面の張り方や要点など詳細なレベルまで問いかけ,対話を繰り返すことで必要な知識やスキルを習得し,補正要領をひとつひとつ積み重ねた。キャラクター部における補正の要件は主に以下のように集約される。 (1) デザイン意匠を再現するための頂上部先鋭化 すぎる」ことがないように,曲率半径の偏差を指標としながら補正を行う。 (2) キャラクター部と隣接面との連続性保持 デザインの意図を継承しながら補正を実現するには,キャラクターに隣接する面との関係を維持することが求められた。生産技術領域における通常の形状作成ではフィレットR作成時のようなG1(接線)連続性までで要件を満足していた。しかし,意匠面のキャラクター部の補正ではG2(曲率)連続性が求められる。 (3) キャラクター全体のフォルム維持 隣接面との連続性保持とともに,キャラクターの面自身においても補正により大きく形を崩さないことが求められた。例えば,キャラクターの幅を広げたり,面端から頂上部に至るアプローチ部における曲率を大幅に変化させたりすることは,キャラクターとその周辺のリフレクションを崩してしまい,デザイナーの意図からかけ離れてしまう(Fig. 10)。 a. 工具(金型)寸法の一致 金型の造り込みの確認(プレス金型製作編参照) b. 材料寸法及び材料特性の一致 特性値が量産規格の上下限に収まっていることの確認。 c. 成形条件の一致 成形前材料位置/成形後のエッジ位置/成形後の板伸d. 金型と製品の相対位置の確認 成形前後において金型と製品の相対位置にズレが生じ5.1 机上段階との等価を保持する品質育成要領の確立 実機段階での取り組みは,金型の精巧な造り込みから始まる。4.3で述べた「補正形状」をプレス部品に反映させるには補正形状と金型が完全に一致することが必要で上記の相反する要件を全て満たした金型形状面を設計できるよう,設計者のモデリングスキル向上をはじめ補正形状作成や評価方法など一連の作業要領を整備した。 4章までの取り組み内容を含め,机上段階での作り込みを行うPDCAサイクルを確立し,金型製作部門や実機での品質保証領域など実機段階へと引き継ぐ業務プロセスへと変革した。 あり,この取り組みはプレス金型製作編にて紹介する。 精巧に造り込まれた金型を用い,机上検証の完全な再現及び検証確度のスパイラルアップをねらい構成した以下の三段階のプロセスに沿って品質育成を行う。 られた前提条件の正確な具現化(机上と実機の一致)が不可欠である。品質育成過程の節々で一致の確認と整合を行い,次節への不一致の流出を防ぐことで机上と実機の一致を保証しているが,その過程において二つの課題が明らかになった。 ひとつは,一致の確認手段は統一されているものの良否を判定する閾値がなく判断は担当者ごとの考え方により差があり,これが品質育成過程において手戻りとして現れ,都度是正するために多くの工数を費やした。 もうひとつは,机上検証の前提条件が多岐にわたるために,品質育成の限られた期間内に大小全ての一致を確認することができず,未確認の条件を残した金型が次節へ進むことがあった。 これらを解決してより正確に具現化させるため,現在は一致の確認を以下の4項目に集約し,閾値を統一した。 縮/成形圧力の値が一致していることの確認。 ていないことの確認。 上記項目の確認により,効率良く振れのない具現化を品質育成期間内に収め,かつ机上と実機の一致度及び再現結果の信頼性を高めることができた。 Fig. 10 Shape Correction Requirements 5. 実機段階の取り組み

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