マツダ技報 2017 No.34
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3章で述べたVサイクルにおける外観品質プロセスを回し続けるとともに,デザインをはじめとする他部門との-80- マツダ技報大谷 肇岡田 又治参考文献正負ゼロであってもそれが本当にデザイナーの想いを反映した形状であるのか,自主判断できないことが課題となった。これを解決するために評価指標値にデザイナーの主観による評価(パネルレビュー)を合わせて最終評価を行った。評価指標値とデザイナーによる評価結果に基づき再補正を繰り返す過程から,二つの評価には相関性があることが判り,公約数を評価指標値の閾値として定義することで定量的な評価方法として確立した(Fig. 11)。 今後はこの閾値の精度をより高めることで,評価指標値のみで品質育成を自己完結できるようにすることが目標である。度に進歩させることが必要であり,そのために実機での再現結果について以下の二つに主眼をおいてフィードバックしている。(1)前提条件と実機の不一致品質育成過程において一致として扱っている前提条件であっても,実際には存在するわずかな差異とそれが及ぼす再現結果への影響。(2)机上検証の前提条件にない生産性ノイズ現在一致を確認していない金型使用環境・設備環境・材料特性等の状況と再現結果との相関。これらの情報を品質育成のPDCAを繰り返す中から抽出し机上検証の確度のスパイラルアップにつなげている。共創活動もより高めていく。そして,魂動デザインの進化による新たな課題,例えばキャラクターのピークへ向けたアプローチ形状再現や,ベースとなる意匠面のリフレクション再現などの解決に取り組み,お客様価値の向上を図っていく。5.3 実機における現象の定量的評価 アウトプット(最終製品)の3次元測定結果を元に4.2で述べた評価指標値を算出し評価したが,評価指標値が5.4 検証確度の向上への机上段階へのフィードバック モノづくりを机上段階で完結させるには検証確度を高岩田 成弘西村 良治No.34(2017)(1)中牟田ほか:次世代デザインテーマを具現化したコンセプトモデル「靭」の開発,マツダ技報,No.29, pp.68-75 (2011)(2)藤川智士:マツダの目指すモデルベース開発,マツダ技報, No.31, pp.44-47 (2013) ■著 者■Fig. 11 Results with New Evaluation 6.おわりに
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