マツダ技報 2017 No.34
89/207

この問題を解決するには,緻密な意匠面を高品位/高精 A movement of R which enters the lamp bottom from the front intake side is also a subtle change. -82- マツダ技報 そこで,生産準備が始まる前段階で生産技術向けのデザイン説明会を開催し,デザインに込められた思い/こだわりを現場作業者一人一人にまで浸透させた(Fig. 1)。 The headlamp top-front dander peak-hipbone-rear fender peak- a sequence of shape to the rear end. このデザイン説明会に参加することにより,デザインに込められたデザイナーの想いを聞き,金型造りを変えていかなければという強い思いを抱くと同時に,現在の製作方法で「魂動」デザイン再現がどこまで可能なのかという焦りも感じた。 「魂動」デザイン再現のため,デザイナーの思いを理解することはできたが,最終的に金型で造り込むのに必要なコア技術/技能が分からずにいた。 議論を重ねる中で,「魂動」デザインのシンボルオブジェである「ご神体」を製作することでデザイン再現のための技術/技能の課題を見いだそうと考えた。 デザイン部門が保有する「ご神体」オブジェを非接触式3次元測定機で測定し,リバースエンジニアリング技術を使ってCADデータに変換。そこから鋳物及び切削用NCデータを作成し,現状の切削/磨き条件にて「ご神体」を完成させた(Fig. 2)。 これをデザイナーに見てもらうと,「魂動」デザインの本質である生命感が削がれているとの指摘を受けた。加工面粗さのバラツキや加工エリア段差部の磨き調整作業により,張り出した形状部に対して形状が痩せており,更にはデザインを表現する上で重要なキャラクターRが部位によっては拡大していた。 度に再現する加工技術と,これを形として崩すことなく磨く技術,デザインのこだわりを正しく評価する仕組みが重要である。(1) ルエンドミルで機械加工を行っている。マツダでは長年,期間短縮に向けて,工具経路生成が簡単で並列作業が可能な,XY平面に直角な断面方向に加工する走査線加工を多用してきた(Fig. 3)。 しかしながら,走査線加工ではXY平面に対して角度をもつ3次元形状では,隣り合う断面方向の工具の移動軌跡の距離が加工部位のXY平面との角度の違いにより異なるため,ねらいの表面粗さを得ることが難しかった。 また,キャラクターラインを横切る箇所では,工具経路点列のトレランスの影響や機械制御の特性により薄いキャラクターライン表現が難しく,磨き調整作業によってキャラクターラインを通さなければならない問題を抱えていた。更に,コーナー部などの形状急変部を横切ることで切削量が変化し工具姿勢が変化することや,機械制御により送り速度の減速が多発(Fig. 4)することで,加工精度や表面粗さのバラツキが大きくなり,結果として磨き調整作業が多発していた。 4.1 機械加工の問題点 プレス金型においてパネルを成型する自由曲面はボーNo.34(2017)Fig. 2 “GOSHINTAI” Making Fig. 1 Design Briefing Session “GOSHINTAI” Model NC data / Machining Cast Making 3D Measurement Reverse Engineering Completion (Polish) Work3. デザイン再現に向けた課題抽出 4. 機械加工の課題解決

元のページ  ../index.html#89

このブックを見る