マツダ技報 2017 No.34
9/207
以上のような取り組みをとおしてイノベーションを起こし続け,常に進化し続けること,これこそが さて本誌では,人間の研究成果を取り込み,ドライバーだけでなく「全ての乗員にとっての走る歓びを深化」させた新型CX-5,「人がクルマを楽しむ感覚」そして「感」の世界を一段と進化させた新型ロードスターRFリトラクタブルハードトップ,更には,デザイン/開発/生産が一気通貫で取り組んできたモノ造り革新の考え方とお客様提供価値向上の取り組みなど,「理想のクルマ造り」に向けたブレ 「意志あるところに道は開ける」,本誌に寄稿された皆様に感謝するとともに,諸先輩方から受け継 ― 2 ―マツダ技報 に考えるのではなく,同時に見て,全体最適の視点でコモディティー・部品への機能配分を行う。そして,全てのコモディティー機能を同時に見て,担当領域の壁を越えてコモディティーの機能を統合していく。このようにして,「いい性能を造ろう」や「いいユニットを造ろう」の世界から,「理想のクルマを造ろう」の世界へ踏み込むこと,これこそが,クルマ屋として懐の深い骨太エンジニアになるための成長を促す,スモールマツダだからこそできる強みと信じている。この土台となるのは,エンジニア全員が「クルマを感じること」,さまざまな部品から部品,そして人間に至るまで何が起こっているのか,エンジニア一人一人が自ら感じて理解し,全員の意識・思いがつながってクルマを造っていくことである。この強みは開発だけにとどまらず,企画/デザイン/開発から生産/購買/物流/品質/販売/サービスまで全社が一気通貫で,シリーズではなく同時につながって,理想のクルマをお客様にお届けしていく強みへと昇華させていきたい。 マツダの特質,いわゆる企業人格であり,お客様をはじめステークホルダーから,マツダと深い絆を築きたいと思っていただける存在理由となるものである。 そして更には,ステークホルダーと深い絆を築くための行動がとれる,すなわち,エンジニア自身が開発したものをお客様に自らの言葉で直接お伝えするまでが,マツダのエンジニアの仕事,ととらえ,積極的に外部とのコミュニケーションを取ってもらいたい。ここ数年の経験から,実はこれが最も効果的な人材育成の一つであることを実感している。 このようにして,エンジニア自らが描いたありたい姿・目標へのロードマップを,全社の仲間とともに着実に実行し,進化の節目節目でお客様からの直接のフィードバックをいただき,次なる歩みの糧としながら,自動車技術への貢献と自らの成長を実感し続けている,そのような活力あるエンジニア集団が形成できると信じている。 ない着実な歩みを掲載させていただいた。「何年かかっても自分達のありたい姿へ到達する,というエンジニアの強い意志」を感じていただければ幸いである。 いだ意志を技術進化の力とし,活力あるエンジニア集団の形成に微力ながら貢献していきたい。 No.34(2017)
元のページ
../index.html#9