マツダ技報 2017 No.34
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① 艶:宝石のような透明感と流れる水のような瑞々 ③ 動:マグマのような生命感あふれるエネルギッシ -89- Fig. 6 Technology Expansion to Sophisticated Color No.34(2017) マツダ技報 また,カラー開発においては,スリーウェットオン塗装やアクアテック塗装で培った材料設計,機能設計,塗膜設計技術を活かすことにより,一層ごとの塗膜の機能を高めていき,塗膜数を増やすことなく意匠性と環境性能を両立させてきた(Fig.6)。 “ブランドを象徴するカラーの進化”と“繊細な面の変化を光と影のリフレクションで表現する”ため,ソウルレッドプレミアムメタリックの「鮮やかさ」と「深み」の更なる進化をターゲットにした(Fig.7)。 4.1 カラー開発プロセスの変革 従来のカラー開発は,まずデザイナーが試行錯誤で創りあげたカラーをもとに,開発部門が耐久性などの機能4.2 イメージから物理特性への変換 ソウルレッドクリスタルメタリックの開発では,実現また,“お客様が車を見たときに感じていただきたい質感表現”を以下のように定めた。 しい潤い感 質な鋭い輝きを放つ金属質感 ュな躍動感 を織り込む。次に生産技術が生産性を付与していく。そのバトンタッチを経ることで当初のデザイナーの意図は変化してしまう。これまでは,「商品化,量産化のためには仕方がない」と考えてきた。 圧倒的な高意匠カラーを開発していくには,デザイン意図をそのまま実用カラーに変換する必要がある。そのために社内各部門の技術者と塗料サプライヤー様が一堂に集まり,デザイン意図をエンジニアが理解して,物理特性へ変換,塗膜設計を行い,その実現のための機能開発と生産技術開発を同時に行うという新たなプロセスを導入した(Fig.8)。 これはマシーングレープレミアムメタリックの開発から本格的にスタートしたが,本カラーの開発からは更に塗料原料サプライヤー様も加わり,より広範囲な機能開発が可能な体制とした。 したいカラーの価値を真に理解するため,デザイナーが表現したいカラーのイメージに近い赤いクリスタルグラスを用いて「透明感ある鮮やかな赤」から「深い赤」そして「漆黒」へと変化していく様子をエンジニアとともにイメージを共有することから始めた。その共有した価② 凛:日本刀のような威厳を感じる品格と緻密で硬 Fig. 8 Transformation of Color Development Fig. 5 Effect of Aqua-Tech Fig. 7 Target image of Next New Red 3. 開発ターゲット 4. 実現に向けたカラー開発

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