マツダ技報 2017 No.34
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-92- 参考文献 7 マツダ技報 一方で,塗膜そのものの平滑性を上げるには,塗装下地を平滑にする方法と下地の凹凸を隠蔽できるまで厚く塗る方法がある。後者の場合,塗膜の下地に近い部分ではどうしてもアルミフレークが下地の形状に沿ってしまい反射角度への影響がでてしまう。また,厚く塗るためには多くの塗料が必要となり,環境面や経済性の面から相反する。そのため、今回は下地を平滑にする方法とした。 そこで,プレス工程でのパネルの平滑さを金型設計やプレス加工条件を適正化して向上させることに加え,電着塗膜を研ぎ加工によってさらに平滑化することにより,上塗前の下地の平滑性を約2倍に引き上げた。 ソウルレッドクリスタルメタリックは,光の反射角度のわずかな差で明度を大きく変化させている。そのため,フェンダーやドアといった外装パネル,バンパーやスポイラーといった樹脂部品同士の面を連続的につなげることが,カラーマッチングと造形の一体感の向上に必要である。従来は,キャラクターラインの連続性とパネル間の隙と段差寸法を指標にしてパネルの折り合いを調整してきた。今回は,部品ごとの面の精度アップに加えて,面の連続性を重視した指標と計測手法を開発することにより,一体感ある造形を実現した。 今回開発したソウルレッドクリスタルメタリックでは,赤の彩度の向上と陰影感を大幅に向上させることができた。特に,魂動デザインの繊細な面変化を陰影によって際立てるために,一般的な15度と110度を45度で割ったフリップフロップ値ではなく,5度と45度を使った新しい指標を導入した。正反射から45度にかけての面変化で明度の差を大きく出すことをねらったものである(Fig.17)。 (1) 篠田雅史ほか:VOCとCO2を同時削減する新塗装デザイナーのイメージをそのまま量産化するために,開発の初期段階からサプライヤー様,社内関係部門が一体となった共創活動を行い,従来にない高い意匠性をもつカラーを高い環境性能を維持したままで開発し,市場へ導入できた。一方で,今回のカラー開発の中で明らかになった課題もある。これらを解決して技術レベルを引き上げながら,お客様に感動していただけるカラーを継続的に開発していきたい。 最後に,ソウルレッドクリスタルメタリックの開発にご協力いただいたサプライヤー様,関係者の皆様に感謝の意を表します。 技術「アクアテック塗装」,自動車技術,Vol.70,p.77-82 (2016) ■著 者■ 平野 文美 野中 隆治 No.34(2017)寺本 浩司 山根 貴和 岡本 圭一 Fig. 17 Level of Soul Red Crystal Metallic 5.2 一体感ある面の連続性の追求 6. 開発結果 7. おわりに

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