-93- Table 3 Appearance after Corrosion Test of Underbody を示す。塗料の焼付時粘性の増加(B<C<D<E)に伴い,バリ部の腐食因子遮断性は向上した。一方,溶接部には最適値が存在した。このことは,溶接部に共存するスパッタとスラグの被覆性が焼付時粘性に対してトレードオフの関係にあることで説明できる。スパッタの被覆性は粘性が高い方が有利であり,一方でスラグの被覆性は粘性が低い方が有利である。実際に塗料タイプBを用いた部品と塗料タイプDを用いた部品の実車錆耐久試験後の外観(Table 3)を比較すると,塗料タイプBではエッジ,溶接部に赤錆が多く発生しているのが分かる。一方,塗料タイプDでは発錆は認められなかった。従来,このような塗料開発には3~5年を要していたが,本評価技術の適用により1年未満での技術開発を実現した。 マツダ技報 Fig. 4 Relationship among Measured Voltage, Height of Burr at Edge and Thickness of Electrodeposited Paint (Paint Type: B) (3) Table 2 Relationship between Result of Combined Cyclic Corrosion Test and Measured Voltage against Change in Welding Condition (Paint Type: B)(2) 塗料開発に対する有効性 (2) Fig. 5 Measured Voltage of (a) Burr and (b) Welding (a) Burr part Part against Change in Paint Type (Welding Condition: F) (2) Parts Painted by Paint Type B or D (b) Welding part No.35(2018) が変化した。スパッタやスラグ量の多い溶接条件G(制御不良)は,複合腐食促進試験で早期に発錆し耐食性が劣った。同傾向が腐食因子遮断性(電圧値)でも確認された。以上のことから,被塗物の状態が塗装部の耐食性に与える影響を精度良くとらえることができたといえる。 塗装部の防錆上の弱点部位として,一般に鋼板エッジのバリ部や溶接部が挙げられる。これは,防錆塗膜による被覆性が一般面に対して劣るためである。ここでは,これら部位の耐食性改善,つまり防錆塗膜による被覆性改善に有効な塗料開発に本評価技術を活用した。塗料の焼付時の粘度特性を変化させ,バリ部と溶接部の耐食性を評価した。Fig. 5に塗料の焼付時粘度に対して,バリ部と溶接部の腐食因子遮断性(電圧値)を評価した結果
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