マツダ技報 2018 No.35
101/149

(3) 品質管理に対する有効性 をTable 4に示す。本評価技術は,触子の工夫により溶接-94- 新規開発した塗装部の耐食性短期評価法とその装置の特徴について,従来の複合腐食促進試験と比較した結果部,エッジ部,平面部など,あらゆる部位の塗装後の耐食性を極めて短期に精度良く評価することができる。従来であれば,生産現場で変化点が生じた際,それが耐食性に影響するかどうかを確認するためには,部品の切断,搬送,実腐食試験と手順が煩雑で,結果が判明するのに数か月を要することもあった。一方,新規開発した本評価技術と装置は,従来の据え置き型の評価設備とは異なり,容易に可搬できることから(約3kg),工場等の生産現場や屋外で,対象物の塗装後の耐食性を迅速に直接測定することが可能である。以上のことから,品質の管理精度と効率を劇的に向上させ,安定した高い品質を実現できる。 の塗装後の耐食性評価へ応用を既に実施している。一例を以下に示す。 ・塗料の光劣化による腐食因子遮断性の経時変化評価 (1) 腐食コスト調査委員会:わが国の腐食コスト,材(2) 浅田照朗ほか:塗装部の新規耐食性短期評価法の2017年自動車技術会 春季大会 学術講演会 講演(3) 浅田照朗ほか:塗装部の耐食性評価法とその活用事例,第63回材料と環境討論会 講演集,pp.175-176(2016) ・チッピング(飛び石)ダメージ塗装部の腐食因子遮断性(≒残存膜厚)評価 ・粉体塗装部品の腐食因子遮断性評価 ・塗装ハジキ発生部位の腐食因子遮断性評価 塗膜耐食性短期評価法を技術開発や品質管理に適用することで,防錆品質造り込みプロセスの革新を実現できる。現在,本評価技術と装置は既に実用化,製品化しており,防錆技術開発や品質確認に弊社内,及び協力メーカー殿で運用を開始している。また,本評価技術は幅広い塗装系でさまざまな用途に適用可能である。従来は定量評価できなかった市場での劣化後の塗膜防錆性能も評価できる。以上のことから,本評価技術は自動車業界のみならず,塗装鋼板を主として製造する産業機械部品,建機部品,製缶部品,その他家電製品や装飾部品を取り扱う他業界での応用が期待でき,将来的には耐食性評価のスタンダードとなり得る技術である。 最後に,本評価技術の構築に多大なご協力をいただいた広島大学大学院工学研究科の礒本良則先生に深くお礼申し上げます。 料と環境,50,pp.490-512(2001) 開発,及び防錆技術開発・品質管理への活用, 予稿集,2017,pp.1148-1151(2017) ■著 者■浅田 照朗 マツダ技報 4.おわりに重永 勉 Table 4 Effectiveness of Newly Developed Evaluation Method for Technological Development and Quality Management 3.3 その他,評価適用事例 本評価技術は,上記に紹介した活用事例以外にも多く参考文献 No.35(2018)

元のページ  ../index.html#101

このブックを見る