マツダ技報 2018 No.35
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3.2 接合強度に及ぼす接合条件の影響 板厚3mm のカーボン繊維40wt%PP 射出成型品(以下,CF-PP),アルミニウム材に板厚1.2mm のA5052-H34 酸洗材を供試材として,接合強度に及ぼす摩擦撹拌点接合条件の影響を調査した。なお,CF-PPにはあらかじめ官能基を添加し,接合性を改善した樹脂マトリクスを用いている。 CO -97- 6~10mm 1000~15000rpm 6~60mm/min 1.0mm Resin Aluminum AlCFRPFig. 3 Picture of Joint Section Fig. 4 SEM Image of Cross Section HAADF image Mapping of an elementFig. 5 TEM Image of Cross Section(4) 0.5um1mmTool diameter Rotation speed Penetration speed Penetration depth Fig. 6 Photo of Joining Devices Fig. 7 Schematic Image of Joining Table 1 Joining Conditions Parameter Conditions No.35(2018) マツダ技報 アルミニウムと溶着する。そのため,ポリプロピレンやポリアミドなどの熱可塑性樹脂をマトリクスとするCFRPの接合が可能である。Fig. 2に,接合プロセスの概略を示す。 は酸素リッチな層が存在しており,この中間層を介してアルミニウムとCFRPが接合していることが分かる。熱可塑性樹脂において官能基を持たない場合は接合ができないことから,本接合手法では樹脂中に存在する官能基と酸素リッチな中間層との結びつきにより化学的に結合されているものと推測される。第一原理計算など計算化学の結果から,化学結合種として電気陰性度の違いによる Aluminum Fig. 3に,アルミニウムとCFRPの接合部断面写真を示す。アルミニウム中央の窪んだ部分はツールが挿入された領域であり,ツール直下ではアルミニウムがCFRP側に塑性変形している。また,Fig. 4には,Fig. 3の中で四角で囲んだ位置のSEM写真を示す。アルミニウムとCFRPが隙間なく密着していることが確認できる。Fig. 5に,同様の位置のTEM写真及び炭素,酸素及びアルミニウムの元素マッピング結果を示す。アルミニウム表面にるクーロン力に起因した結合,脱水縮合による共有結合,水素結合など幾つかのメカニズムの可能性が示唆されている。 接合には,Fig. 6に示す位置制御式摩擦撹拌点接合装置を用いた。本装置では,ツールの回転速度と挿入速度が一定の条件で設定した挿入量までツールが押し込まれる。接合は,30×100mm 試験片同士をアルミニウムを上板側とし30mm ラップで冶具に固定し,重ね合せの中心部を接合した(Fig. 7)。Table 1 に,接合条件を示す。

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