マツダ技報 2018 No.35
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2.3 エンジンによる評価 エンジンを用いた触媒特性の評価には,2.5Lの直噴エ(HORIBA製)を用いた(Fig. 1)。 2.2 触媒特性評価 サンプルを流通式の試験装置内に配置し,Table 1に示-102- X-ray Photoelectron Spectroscopy:NAP XPS)を用い2.1 評価サンプル たAl2O3粉末をコーティングしたものを用いた。 NAP XPSには,Si自然酸化膜が生成したSi基板上にRhナノ粒30℃/分で前処理を行った。λ=1のガス組成は,酸化成分30℃/分で昇温させながら,MEXA-7500(HORIBA製)Table 1 Model Gas Composition(Pretreatment) 過剰雰囲気の排ガスに対して高い浄化性能をもつ排ガス浄化用触媒(3),(4)とその性能を使いきるためのエミッション制御技術の開発が必要となる。触媒性能を最大限発揮させるためには,浄化反応の律速となる「吸着」過程において,排ガスの吸着点である貴金属の表面状態を最適化することが重要となる。すなわちこれまでのエミッション制御は排ガス成分の排出量を元に制御している例が多いが,更に高い浄化性能を得るためには,触媒の貴金属表面状態と性能の変化との関連性から,より高精度なエミッション制御を構築する必要がある。 本研究では,NOx浄化特性に優れるロジウム(Rh)に着目し,排ガス環境,貴金属表面状態及び浄化特性の関係を明らかにすることで,理想とする制御指針を得ることを試みた。貴金属表面状態分析には,その場分析可能な準大気圧X線光電子分光法(Near Ambient Pressure た。 触媒特性評価には,外径25.4mm,長さ22mm,セル密度600cell/inch2のモノリス担体に,Rhを2wt%担持し子を蒸着したものを用いた。Rhナノ粒子はガス中蒸着法で作製した。 す種々混合ガスを流通させながら,室温~500℃までと還元成分のモル比を1に設定した。その後λ=1条件で,で触媒前後のガス分析を行い,浄化性能を算出した。 ンジンを用い,触媒は量産触媒をエンジンから150cm後方へ取り付けた。計測は,集合部でA/F,触媒Bed温度,触媒前後のガス組成分析を行い,MEXA-7000 ろしま産学連携拠点)で評価した。NAP XPS評価用の ドへも同時に蒸着し,そのグリッドを観察することでRhの構造を評価した。 (2)Rh表面状態の分析 (NAP XPS分析) 質構造科学研究所・放射光科学研究施設(Photon として行った。ガス組成をTable 2に示す。試料を各初期状態に前処理した後,ガスを流通させ,その後2.5℃/分で昇温しながらNAP XPSによりRh 3dピークを分析した。反応後のガス組成の分析は質量分析計によって計測した。 ション性能指標の1つであるライトオフ性能(NOを50%浄化した時の温度)では,λ=1は164℃であるのに対して,Lean①~④の前処理を行うことでλ=1に比べて19ほど性能が低下していることが分かった。 マツダ技報 SV = 60000(1/h) Fig. 1 Schematic of Engine Evaluation Test 2.4 Rh物性評価 (1)Rh構造の分析 Rhの構造は透過電子顕微鏡(JEM-3000F,JEOL,ひRhナノ粒子は,作製時にあらかじめTEM観察用グリッNAP XPSの実験は,高エネルギー加速器研究機構・物Factory)BL-13Bにおいて,慶應義塾大学との共同研究Table 2 Model Gas Composition(NAP XPS) 3.1 触媒性能評価結果 Fig. 2にRh触媒の浄化特性評価結果を示す。エミッ ~42℃悪化しており,処理温度が高く,酸素濃度が高い2. 実験方法 3. 実験結果 No.35(2018)

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