マツダ技報 2018 No.35
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④ 9名全員の利得平均は2.31db(1.81~2.54db)であり,② Fについては各エキスパートとも傾向が一致しなかった。これはDの「しわ押さえ上下精度」の影響を考慮するかどうかで結果が変わっている。関係性が不明確③ Hについては変化が発生することは予測しているが,安定化にどの程度効果があるか判断しきれなかった。-109- Table 1 Control Factor,Error Factor Fig. 7 VPD Result No.35(2018) マツダ技報 想的に検証結果を算出するものである。この手法を用いた理由として,制御因子に設計要素を取り入れた際に,実験ごとに金型の形状加工が必要となり,膨大な実験費用が必要となるためである。 品質工学での制御因子を選定する上で,社内エキス パートによる因子選定に加え,GSA結果から判明したことを織り込んだ。まず,社内エキスパートを,成形技術,形状設計,製作技術の領域から計5名選び,流入をコントロールできる影響因子を15個列挙した。その中から影響の高い因子を7つ選別した。加えて,GSA結果(Fig. 5)から1因子を追加して8因子を選定した(Table 1)。 誤差因子は,量産条件でもロバスト性の高い成形条件を算出することをねらい,「プレス設備の機差」と「板材の降伏点ばらつき」を選定した。 次に,成形技術,形状設計,製作技術の領域から各3名の合計9名の社内エキスパートでバーチャルパラメータ設計を行った。その際に,8因子と3つの水準を変更したプレス成形のイメージが困難だったため,制御因子の項目での影響度を数値にした。その後,水準のふり幅に応じて効果の度合いを数値にした。0~9点で数値が小さいほど張力が大きいとして評価し,それらの積を求め,L18直交表に割り付けた。結果を望小特性SN比で計算した(Fig. 7)。 要因効果図から次の4点判明した。 ① 当初は設計系A,C,E,Fの因子が特に効果が大き いと予想していた。しかし,製作系Dや,設備系Gの因子も効果的であった。金型挙動を制御できる因子として影響度が高いと考えた。 なので実機調査が必要と判断した。 水準のふり幅をもっと大きくすることで効果を明白にできたと考える。 形状設計者は高めの利得となった。これは設計系因子の効果を数値的に把握し,バーチャル設計時の採点を正確に行えたと推測した。 以上4点を踏まえ4因子(C,D,E,G)を変更し,最適条件をA2,B3,C1,D1,E1,F2,G1,H2とした。 バーチャルパラメータ設計で求めた最適条件を実験金型にて効果の確認を行った。確認方法はFig. 8の油圧プレス機で実施した。まず金型に板材を投入し,ブランクホルダーでホールドする状態まで,上型スライドを降下4. 効果の確認

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