マツダ技報 2018 No.35
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①世界共通の長期目標として,産業革命前からの地球の気温上昇を「2℃未満」に抑制,更に,「1.5℃未満」を目指す。 We love cars and want people to enjoy fulfilling lives through cars. We envision cars existing sustainable with the earth and society, and we will continue to tackle challenges with creative ideas. 1. Brighten people's lives through car ownership. 2. Offer cars that are sustainabe with the earth and society to more people. 3. Embrace challenges to seek master the Doh ("Way" or "Path") of creativity. -5- 3.2 「地球」課題に対する取り組み 地球温暖化防止を目指して,温室効果ガスの排出についての2020年以降の各国の取り組みを決めた国際的な ルールであるパリ協定は,2015年12月に国連の会議「COP21」で190か国以上が合意し採択された。2018年4月時点で175か国・地域が署名しており,地球温暖化防止のためには,地球全体での排出削減が不可欠である。この協定では,IPCC第5次報告書などの最新の科学的知見を踏まえて,国際社会が実現を目指す共通の価値・ビジョンを示すとともに,主に以下の2つの目標を掲げて努力することが定められている。 Fig. 5 Sustainable“Zoom-Zoom”2030 Corporate VisionFig. 6 Mazda Corporate Vision Fig. 7 Conceptual Diagram of Well-to-Wheel No.35(2018) 3.1 ビジョン/基本ポリシー マツダは2002年に導入したブランドメッセージ「Zoom-Zoom」に基づき,お客様に「走る歓び」を提供するというブランドの方向性を明確にし,2007年に発表した「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言」においても一貫して「走る歓び」を中心に据え,「優れた環境・安マツダ技報 環境,安全,いずれの技術においても,市場に広く普及して初めて環境負荷低減,及び社会課題解決に貢献すると考え,高価な技術に頼るのではなく,ベース技術の徹底的な改善に注力してきた。 全性能」との高次元での両立に取り組んできた。そして,2017年8月に2030年を見据えた新たな技術開発の長期ビジョン「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言2030」を発表した(Fig. 5)。『私たちマツダは,美しい地球と心豊かな人・社会の実現を使命と捉え,クルマの持つ価値により,人の心を元気にすることを追究し続けます』という基本ポリシーは,2015年4月に改訂したマツダの コーポレートビジョン(Fig. 6)に基づいており,これまでの「走る歓び」,「環境」,「安全」という3つの要素に対し,より長期的な視野と高い視点に立ち,クルマの持つ魅力であり,マツダが追求し続けている「走る歓び」を通じて,「地球」,「社会」,「人」,それぞれの課題解決を図り,世の中を元気にしたいという強い想いと高い志を込めた。 ②そのために,21世紀の後半に世界の温室効果ガス排出を実質ゼロにすること。 この目標を達成するため,再生可能エネルギーの導入量を増やすなどクリーンなエネルギーミックス(電気の発電に使用するエネルギー源の構成)の推進と,更なるエネルギー効率化の追求の具体的な取り組みが重要となる。自動車のCO2排出量は,燃費規制や商品の燃費値に代表されるクルマに燃料を投入してから試験モードを走行する間のCO2排出量を計測,いわゆるTank-to-Wheel として求められる。それゆえ,EVのCO2排出量はゼロである。パリ協定に基づいた地球全体でのCO2排出量削減のためには,原油の採掘/輸送/精製に加え,燃料の輸送,電気の発電などのCO2排出量を総合的に評価する必要があり,このプロセスの評価は「Well-to-Wheel(燃料採掘時から車両走行時まで)」(Fig. 7)である。 3. サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言2030

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