マツダ技報 2018 No.35
122/149

-115- 4.2 湯流れ可視化実験の結果 可視化鋳造は,延べ140ショット鋳造した。代表的な なお,実験の再現性を検証するため,以下の物理量を 減圧装置は,真空ポンプ・タンク・バルブで構成され, 1) 溶湯温度(水準1):720℃ねらいに対し,722℃ 2) 溶湯温度(水準2):670℃ねらいに対し,668℃ 3) 給湯量:354±8g 4) ビスケット厚さ:50.0±1.0mm 5) 金型温度(サイクル内ピーク値):120±10℃ 湯流れにおける減圧影響を表したのがFig. 11(a)である。可視化する像の形状は,量産部品で実際に生じている流動現象を想定し,Table 1の組み合わせによってFig. 9のように再現する。 撮像画像をFig. 10に示す。 計測したがバラツキは量産と同水準であった。 溶湯温度は720℃,ゲートスピード50m/sで同一とし,減圧80kPaと大気圧を比較し,湯先形状に違いが出ることが分かった。減圧下では湯先が尖り直進性が高いのに対し,大気圧では溶湯の広がりが大きい。これは,キャビティー内の背圧抵抗によって溶湯進行が阻害され,本来の尖り部分が左右に広げられたためと考えた。 Fig. 7 Structural Analysis Results of Cover Die Receiving Casting Pressure Fig. 8 Structure of Ejector Die Table 1 Experimental Conditions Fig. 9 Visualization Concept Fig. 10 Example of Visualization No.35(2018) 3.2 キャビティーの減圧 本稿ではダイカストで広く取り入れられている,真空4.1 実験条件と水準 実験は,Table 1の制御因子と,水準とした。 マツダ技報 ダイカストでの湯流れ挙動の可視化を実施する。キャビティー内の減圧は,湯流れ時の背圧影響を抑制するとともに,残存するエアや金型表面に塗布した離型剤から揮発するガスの除去を目的としている。可視化型においても,金型に減圧装置を接続し,型合わせ面にシール構造を施して,量産金型と同等の気密性を確保した(Fig. 8)。 キャビティーと真空タンク容量の比は,マツダで量産するシリンダーブロックと同じくした。また,減圧量を制御するため,圧力レギュレーターを真空ポンプとタンクの間に設置した。 4. 湯流れ可視化実験

元のページ  ../index.html#122

このブックを見る