-116- 以上により,湯流れの“像”をとらえたことで,像を 4.3 湯流れ中の溶湯温度実測 Fig. 12に流動中の溶湯温度測定に用いた金型概略図を示す。キャビティーは,溶湯を一律で不可逆的な流れと また,溶湯温度の影響を表したのがFig. 11(b)である。ゲートスピード50m/s,減圧80kPaで同一とし,溶湯温度720℃と670℃を比較した。その結果,溶湯充填にかかる時間が溶湯温度720℃では0.028秒であるのに対し,670℃では0.044秒かかっていた。これは,温度低下によって溶湯の粘度が上がり流動しにくくなったためと考えた。 形成するための条件面が非常に重要であることが分かった。ゲートスピードは当然のことながら,溶湯温度が湯流れに対して非常に大きな影響をもつと判断し,湯流れ中の溶湯温度を実測する実験を追加で実施した。 するジグザグ形状とした。本実験の目的は,その形状内部に温度計測ポイントを設けて溶湯が流動しながら温度低下する様をとらえることである。 温度計は,プローブタイプの放射温度計を金型裏面より設置し,キャビティー面にはアクリルで栓を設けて溶湯と放射温度計が接触することを防ぐ。栓の材質にアクリルを選定した理由は,コスト面の他に,放射温度計の Fig. 13は縦軸に流動中の溶湯温度,横軸に流動距離を表し,720℃で鋳造した際に得られたデータを示す。溶湯が流動するに従い,溶湯温度が低下する現象を確認し検知する波長1000nm帯の赤外光の透過に優れるためである。 放射温度計を採用する理由は二点,接触式の温度計は接触子が溶湯の流れを阻害するためと,接触式では温度を検知して信号に変換するまでにタイムラグが生じ,ねらいのサンプリングレートを満足しないためと考えたからである。本稿では,1000分の1秒のサンプリングレートをもつ放射温度計を選定し,溶湯流動中に30点を計測できる計算となる。 た。充填完了後には,周囲の復熱によって温度がやや上がる現象を確認した。この実験により,溶湯の初期温度の違いによって到達時の温度や低下の勾配が異なること,そして到達までに要する時間が異なることが分かった。 次章にて,以上の実測結果を基に湯流れ解析の確からしさを確認する。 Fig. 13 Temperature Drop at 720℃ Fig. 11(a) Compare with Vacuum Effect Fig. 11(b) Compare with Viscosity Effect Fig. 12 Temperature Measurement Concept マツダ技報 5.1 可視化結果の分析手法 ダイカスト湯流れを,定量的な実測値とする手法を考No.35(2018)5. 可視化結果の分析と湯流れ解析への反映
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