マツダ技報 2018 No.35
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-119- Fig. 19は,湯まわり値の再現性を表す。横軸に事前検Fig. 19 Accuracy of Yumawari Score (1)竹村ほか:「走る歓び」を実現する薄肉ダイカスト(2)大塚ほか:SKYACTIV 技術を実現した高精度薄肉ダイカストと金型技術,マツダ技報,No.31,pp.197- 201 (2013) の金型設計技術革新,型技術者会議発に関するフィージビリティスタディ,(財)機械システム振興協会,平成16年度システム開発報告書析精度向上,デンソーテクニカルレビュー,Vol.6,■著 者■ 竹村 幸司 菅谷 智 7.まとめマツダ技報2017,pp148-149(3)長坂ほか:ダイカスト湯流れ直接観察システムの開(4)飯見ほか:ダイカスト湯流れの可視化検証による解No.2,pp.100-106 (2001)亀井 克則 河野 一郎 米澤 英樹 達谷 正勝 参考文献 No.35(2018) 次に,前節の実験を忠実に再現(金型3Dモデル,鋳造条件)した湯流れ解析を実施し,解析結果を説明変数として求めた。重回帰分析の結果,t値が2以上となる説明変数が「有意である」と考え,かつp値が5%よりも小さくなる解析結果を説明変数とした。その結果「溶湯温度」,「溶湯流速」,「溶湯の継時劣化」,「溶湯流動長」,「溶湯空気接触量」を説明変数とした回帰計算によって湯まわり値を再現する回帰式を作成することができた。 証した湯まわり値を,縦軸に実体から算出した湯まわり値を示す。点群の分布から分かるように,おおむね実体を反映する結果である。量産準備において,湯流れ解析をした結果,製品形状にこの値を下回る部位が生じる場合に鋳造方案や製品形状を見直す評価基準としている。 直近では,SKYACTIV-Dの改良型エンジンシリンダーブロックにおいて,本技術を活用して開発コンカレントを進めた結果,従来比286gの製品軽量化を達成した。 本稿では,将来にわたってダイカスト部品軽量化の可能性を大きく広げる湯流れシミュレーションの予測精度を改善した。それには,実際のダイカストマシン,金型を用いた湯流れ可視化と,さまざまな因子を計測する技術が大きな役割を果たした。コンピューティングパワーが大きく発達した現代にあっても,実態を徹底的かつ客観的に見ることの重要性を再認識できた。「現場現物」という考え方はしばしば生産性改善において語られるが,どんな場面にも共通して重要な「ものづくり」の肝であった。 今回,マツダのものづくりの考え方に共感していただき,ともにダイカスト湯流れの真理に迫る“同胞”として同じ釜の飯を食べた,大同特殊鋼(株)に対して厚く御礼を申し上げます。

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