マツダ技報 2018 No.35
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-7- Fig. 12 Building-Block Strategy Fig. 13 Mazda Co-Pilot Concept No.35(2018) 3.3 「社会」課題に対する取り組み 安心・安全なクルマと社会の実現により,全ての人が,マツダ技報 永続的に共存する未来を築くことに取り組んでいく。全ての地域で,自由に移動し心豊かに生活できる仕組みを創造し築いていくことをビジョンに掲げ,新たな交通事故の要因や,社会構造の変化に伴い顕在化している課題解決に取り組んでいく。具体的には,「過労による危険運転」,「増加する高齢ドライバーによる運転操作ミス」,「スマートフォンなどのIT技術の普及によるドライバーディストラクション」などの新たな交通事故要因への対応,日本,欧州を中心とした少子高齢化及び,都市集中化による「過疎地域における公共交通の弱体化」2050年については,パリ協定で掲げられた温室効果ガス削減目標実現に貢献することを念頭に置いている。2060年時点の自動車保有台数は,グローバルで今の約2倍となる21億台となり,自動車による輸送距離は更に増加を続けることが予測されている。IEAの試算によれば,パリ協定で掲げられた,産業革命前と比べて将来の平均気温上昇を2℃未満に保つという目標を達成するためには,2060年の温室効果ガス排出量を,2010年と比べて,運輸部門全体で約30%,乗用車部門ではWell-to-Wheelで約65%削減する必要があるとされている。保有台数の増加を考慮すると,乗用車1台あたりのWell-to-Wheelでの温室効果ガス排出量では,2060年には2010年比約84%削減する必要があると考え,新車販売に置き換えると,この目標を2050年に達成することが必要であると考えている。 また,2℃未満実現を確実なものとするために,挑戦目標として90%削減を掲げた。クルマをこよなく愛し,走る歓びを大切にするお客様とともに,豊かで美しい地球となど,将来想定されている社会環境変化に資する課題解決に取り組んでいく。その実現のために,引き続き“事故のない安全なクルマ社会”を目指したドライビングポジション,ペダルレイアウトなどの基本安全技術の継続的進化と全車標準化を進めていく。加えて,先進安全技術の継続的な性能向上と標準装備化,そして,自動運転技術を活用した,ドライバーがいつまでも安心して運転を楽しめる「Mazda Co-Pilot Concept(マツダ・コ・パイロット・コンセプト)」(Fig. 13)の2025年での“標準化”を目指す。社会を豊かにすることで,人々に心の充足を提供し,心を健康にすることをビジョンに掲げ取り組んでいく。社会で生活する人々は,機械化や自動化により経済的な豊かさの恩恵を受けているが,一方で,日々体を動かさないことや,人や社会との直接的な関わりが希薄になることで,ストレスが増加していると考えている。これらの課題に対して,より多くのお客様にクルマを運転する「走る歓び」を感じていただき,更にクルマの運転を通じて,高揚感・達成感を得ることで,心豊かな人生を味わっていただくことを目指していく。このために,人の能力を引き出し心と体を活性化させる「人馬一体」感と,見る人全ての心を豊かにするデザインを,更に研ぎ澄ませていくことに取り組んでいく。私たちが長い間,目指してきたマツダブランドのありたい姿とは,お客様と強い絆で結ばれた存在である。マツダは,以前からコスモ・サバンナなどのロータリーエンジン車やロードスターといったスポーティー性能に優れた車のブランドとしてグローバルに認知されており,熱烈なファンの皆様に支えていただいている。私たちは,いつまでもこのお客様に,お客様の期待を3.4 「人」課題に対する取り組み 「走る歓び」を感じるクルマを通じて,地球を守り,4.おわりに

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