マツダ技報 2018 No.35
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8に示す。スラグが少ないハイアルゴン溶接は,良好な結 3.2 新電着塗料の開発 次にエッジ被覆性評価のため,現在の量産電着塗料を 0ABC -29- ]2[ tsuRmmaerAしかし,前述のとおり,高い粘性は溶接ビード上のスラグ被覆性を悪化させる懸念がある。 試験後の発錆量の測定結果を示す。 基本的に粘性が高くなるほど赤錆が増える。エッジ錆を大幅に改善する仕様Cでは,溶接ビードと母材の境界付近の耐食性が低下した。粘性が高すぎて,スラグの被覆性が悪化したためと考える。 溶接ビード上のスラグ部とエッジ部の被覆性に対する背反を解くため,エッジ部被覆性を電着塗料の焼き付け時粘性アップで確保し,逆に不利になる溶接ビード上のスラグ部は,スラグ量とサイズの縮小と,電着膜厚アップで被覆性を確保することとした。しかし,必要以上に厚過ぎる膜厚は,コストアップを伴い,締結部の性能を悪化させるため,膜厚:30μm,塗料仕様Bを対策仕様とした。Fig. 11に示すように標準仕様と膜厚アップ仕様で評価を行い,耐食性向上を確認した。 マツダ技報 Conventional welding (20%CO2) Hi-Argon welding (5%CO2) Fig. 7 Welding Bead by Hi-Argon Welding Process Conventional Welding Process Fig. 8 Result of Combined Cycle Corrosion Test (30cycle) (2) Table 2 Test Piece Specification E-coating Thickness 30μm A 30μm B 30μm C Hi-Argion Welding Process Viscosity at baking Standard High More High Fig. 9 Result of Corrosion Test (Edge) Fig. 10に溶接部の実車促進腐食試験による評価を行い,80604020Fig. 10 Result of Corrosion Test (Welding) 13.6 1.8 61.2 No.35(2018) 従来溶接工法とハイアルゴン溶接で施工後,量産条件で電着塗装を施した試験片に対する,腐食試験結果をFig. 果を得た。 ベースに,Table 2のように電着膜厚(一般部のねらい膜厚)を固定し,焼き付け時粘性を変動させた試験片を製作し,複合サイクル試験及び実車促進腐食試験を実施した。各試験片はハイアルゴン溶接で施工した。 エッジ部の複合サイクル試験10サイクル及び30サイクルにおける赤錆発生率(=赤錆が発生したエッジ長÷試験片のエッジ長)の測定結果をFig. 9に示す。粘性の増加とともに,耐食性が大きく向上することを確認した。

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