マツダ技報 2018 No.35
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-36- )ged/J( lo t( ) t f ) rewoPesaeeRaeHeaRWk(m・NeuqroT Low Gas Volume=Tighten Nozzle 【Low Speed】 Torque (N・m) Power (kW) 【High Speed】 High Gas Volume=Open Nozzle Fig. 14 Heat Generated Waveform of Rapid Multi-Stage Combustion(急速多段燃焼の熱発生波形) Conventional combustion CX-8 (Rapid Multiple Combustion) Crank Angle (deg) マツダ技報 グツーリング・オールラウンダーとして全ての乗員がどこまでも走りたくなり,どこへいくにも疲れにくく快適であること,及び運転するご自身と大切な方々を守る安全である。3列シート多人数乗用車の想像を超え,力強く滑らかな性能と高い安全性能を実現した。 (1)進化したクリーンディーゼル フォーマンス,優れた静粛性と高い環境性能を更に向上させた。 出力は従来の129kWから140kWへ引き上げ,トルクは420Nmから450Nmへ高めた。多人数がたくさんの手荷物を持って乗り込んでも,最上位SUVとして力強い加速を感じていただける。また,レスポンスを向上させ,アクセルペダルに対する反応の素早さと正確さを感じられる走りの質を向上した(Fig. 12)。 Engine Speed (rpm) これらを実現する主要な技術として,過給と燃焼領域の新技術を2つ述べる。1つ目は,過給技術として可変ジオメトリーターボチャージャーを採用した。従来のSKYACTIV-D 2.2には2個のタービンを搭載し,運転領域によって大小2個を使い分ける2ステージターボチャージャーを採用していた。新型CX-8では,大きい方のタービンに可変ジオメトリーターボチャージャーを新採用し,より低速から素早く過給圧を高め,高速でも過給効率を高めることで,最高出力最大トルクともに向上。より伸びやかで力強い走りを実現した(Fig. 13)。 Turbine Blade Variable Nozzle2012年の初代CX-5から導入したクリーンディーゼルSKYACTIV-D 2.2は,世界中で高い評価を得ている。今回,SKYACTIV-D 2.2の導入以来で最も大きな改良を加え,圧倒的なトルクと高回転まで軽快に伸びる爽快なパFig. 12 Engine Output Fig. 13 Variable Geometry Turbocharger 2つ目は,新たな燃焼コンセプトとそれを実現する燃焼技術である。優れた燃焼効率と静粛性,そして高い環境性能を両立する理想の燃焼を目指し,急速多段燃焼という新たな燃焼コンセプトを構築。従来のSKYACTIV-D 2.2では,「パイロット・プレ噴射で形成される予混合的なプレ噴射により,クリーンなメイン燃焼を実現し,アフター噴射で燃え残りを燃焼させる」という3つのフェーズから構成される燃焼で,旧来のディーゼル燃焼をブレークスルーした。新型CX-8では,「急速多段燃焼」という新しい燃焼コンセプトで,従来SKYACTIV-D 2.2の燃焼に比べて,より短時間により多くの回数の燃焼を行う。短時間の連続した燃焼をピストンの上死点付近で発生させることで,より少量の燃料で大きなトルクを引き出し,同時にノック音の低減や環境性能改善を両立させた。市街地など低車速・軽負荷の走行シーンでは静粛性を向上させ,力強い走りを求めるシーンではゆとりある加速とそれに調和するリニアなエンジンサウンドを実現した(Fig. 14)。 この急速多段燃焼を実現する技術として,新たに「段付エッグシェイプピストン」や「超高応答マルチホールピエゾインジェクター」などを採用した。 (2)操縦安定性と乗り心地 国内最上位SUVかつ大切な方々と同じ時間を過ごす多人数乗用車として,3列目を含む全ての乗員に感じていただける走る歓びと快適性を実現した。 ドライバーが運転する際に,ハンドル操作に対して気持ちの良い,意のままの車両応答を目指し,人間の滑らかなハンドル操作に対して車両もそれに応えるように滑らかに反応する,まるで自分の手足のような人馬一体の感覚を実現した。 また,大切な同乗者の快適さや心地良さの深化を目指し,全ての乗員がクルマとの一体感を感じられる上質なで安心感がある乗り心地を実現した。 No.35(2018)

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