マツダ技報 2018 No.35
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-41- 3.1 前面衝突性能 CX-8のフロントボディーは,SKYACTIV-BODY コモンアーキテクチャ構想に則り,基本骨格をCX-9と共有しつつ,最低限のユニーク部品で実現している。CX-8のフロントオーバーハングは,CX-9に比べ短くCX-5同等である。しかし,CX-5に比べて車両は重くその差は約260kg/台ある。車両重量が増えるほど衝突時のエネルギーは増大する。この増大したエネルギーをCX-5並みのクラッシュスペースで吸収するため,骨格内に最適な補強を施した。く,盛り込むことに挑戦した。具体的に各性能を実現する上での考え方及び手段については次項より紹介する。 新型CX-8は,全てのお客様に安心・安全をお届けすべく開発を行った。3列シート車は車両重量が重いため,衝突時のエネルギーは増大する。このエネルギーを効率良く吸収できる構造を考え,SKYACTIV-BODYを進化させた。その開発事例として,フロント及びリア周りの開発事例について紹介する。 補強例として,フロントフレームにレインフォースメントを追加した事例を示す(Fig. 2)。この補強にあたっては,衝突時に乗員にかかる加速度を増やさないため,最大発生荷重を維持しながら,エネルギー吸収量を上昇させることをねらい検証を重ねた。変形過渡の座屈を制御することにより,最大発生荷重が上がらないようコントロールし,エネルギー吸収量向上を実現した(Fig. 3)。 Fig. 1 Body Size of New CX-8 Fig. 2 Add Reinforcement of Front-Frame BASE CX-8 No.35(2018) マツダ技報 ってクラッシュスペースが減少し,リアフレームに伝達するエネルギーは増大する。これを効率よく吸収するための構造として,Cピラー下のアウターレインフォースメントに二股構造を採用した。二股に分かれたレインフォースメントに荷重を分散させることよって,衝突時にリアフレームを上方から支え,持ち上がり挙動を抑制し,衝突エネルギーをリアフレームで安定して吸収することでバリアの侵入量を抑制している(Fig. 4)。これにより,国内保安基準の50km/hフルラップ衝突試験はもちろん,より高速なマツダ社内基準においても十分な生存空間を確保した。 新型CX-8は,多人数乗車が可能な3列シートをもつ車Fig. 3 Improvement Energy Absorption of Front-Frame 3.2 後面衝突時の3rdシート安全性 CX-5をベースとしたフロントボディーに対し,リアボディーは同じ3列シートをもつCX-9と基本骨格を共有している。新型CX-8はCX-9比で,全幅は130mm,リアオーバーハングは84mm短いが,3rdシートの安全性においては同等レベルを目指した。リアオーバーハングの短縮によFig. 4 Dual Structure for Rear-End Collision 4. 操縦安定性 3. 衝突安全性

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