*2 衝突性能開発部 *1, 3, 4 車両開発本部 -51- 要 約 It is our challenge to develop and provide vehicles that satisfy both “driving pleasure” and “outstanding environmental and safety performance” for all customers. By actively employing CAE (Computer Aided Engineering) techniques in our crash safety development, we efficiently develop body structures that simultaneously achieve safety performance and weight reduction. In recent years, CAE techniques are expanding their scope of applications to multiphysics fields, and we have newly developed an evaluation technique of fuel sloshing in fuel tanks, and applied it for our next-generation vehicle development. With this technique, we not only improved development efficiency by replacing the conventional prototype verification process with early-stage verification process, but also developed fuel-leakage prevention structure by implementing CAE process in the early-development stage. Vehicle Development Div. 山内 一矢*1 Kazuya Yamauchi小島 宏介*4 KosukeKojimaCrash Safety Development Dept. 嘉村 浩二*2 Koji Yoshimura 花田 裕*3 Yu Hanada衝突時の燃料揺動評価技術の構築と開発への適用 No.35(2018) マツダ技報 マツダは「走る歓び」と「優れた環境・安全性能」を両立したクルマをお客様に提供することを目指して商品開発に取り組んでいる。衝突安全性能は,CAE(Computer Aided Engineering,計算機支援工学)を駆使して,安全性能と軽量化などを高次元で両立する車両構造を効率的に開発している。近年においては,マルチフィジックス(複数分野にまたがる物理現象)領域への適用が拡大しており,燃料タンクの燃料揺動現象の解析技術を新規に開発し,次世代商品群の開発に適用している。この解析技術は試作車両を用いての実機検証型の開発から事前検証型の開発へ革新し開発効率を向上させるのみでなく,開発の早い段階でのCAEプロセス実行による衝突時の燃料漏れ防止の構造と品質を造り込むことが実現できた。 Summary マツダは,リアルワールドにおける衝突事故(日々発生している実際の衝突事故)を研究し衝突安全性能の進化に取り組んでいる。SKYACTIV-BODYに代表される車体開発は,あらゆる衝突形態をバーチャル検証することで,衝突過程の車両や乗員挙動を高精度に予測している。 燃料タンクの開発では,安全に給油できる性能,悪路走行を想定した振動耐久性能,そして万が一の衝突事故発生時の燃料漏れを未然に防ぐ火災防止性能など,燃料系統の健全性の確保が重要である。特に衝突時の燃料タンクは,車両の速度変化による燃料の揺動,タンク壁面の膨張,燃料揺動抑制のバッフル板の変形,これによる燃料の動きの変化など,さまざまな現象を発生させる。これらの燃料とタンク構造の相互作用が,衝突時の燃料漏れ評価に影響する主要因となるため,理想の燃料タンク性能開発においては,燃料と構造体の複雑な挙動を予測した上で構造や仕様を評価し決定するマルチフィジックス解析技術が重要となる。本稿は,流体解析と構造解析を同時に行う流体構造連成解析技術の構築と次世代商品群の燃料タンク構造への適用について報告する。 9 Establishment of Fuel Sloshing Evaluation Technique Upon Crash and its Application to the Development 1. はじめに
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