4.2 流体構造連成解析技術の開発ステップ この解析技術の開発は,液体揺動,燃料タンクの変形,1付近に達し,同計測点における壁面圧力も高い精度で一 部 (1)剛体壁タンク -53- し,設計段階で燃料漏れ防止構造を決定するためには,流体構造連成解析技術を用いた高度な予測技術を構築することが必要である。 車体との干渉を段階的に検証するために,(1)剛体壁タンク,(2)実体タンク,(3)車両状態,の3つのステップで検証した。 1)液体挙動の検証 壁面が変形しない剛体壁タンクを試作し(Fig. 8),着色水を充填して後面衝突相当の速度変化を与える スレッド実験を行った。Fig. 9にアクリル製窓からの液体挙動,Fig. 10に壁面圧力の計測結果を示す。液体の挙動は実験,解析ともに40msでタンク上部の圧力センサー致していることが確認できた。 マツダ技報 Fig. 5 Liquid Sloshing Motions in Rigid Tank Fig. 6 Fuel Tank Deformation Upon Crash 4.1 流体構造連成解析技術の重要性 前述したとおり,衝突時の燃料の揺動とタンク構造のFig. 7 Comparison of Tracer Particle Paths (a) Top view (b) Side view Fig. 8 Configuration of Rigid Tank Sled Test Experiment Simulation Fig. 9 Liquid Sloshing Motion at 40ms Pressure at Sensor 1 Fig. 10 Result of Rigid Tank Sled Test 4. 流体構造連成解析技術の構築 No.35(2018) 相互作用が燃料漏れ評価に影響する主要因である。そこで,Fig. 7に示すように,タンク内部にバッフル板を設置して,Fig. 5と同様の条件で解析を行った。解析は,汎用非線形解析ソフトウェアのLS-DYNAを用い,流体解析部分をALE(Arbitrary-Lagrangian Eulerian)でモデル化した。構造体の変形を考慮しない流体解析は白線,流体と構造体の相互影響を考慮する流体構造連成解析は赤線で揺動する燃料内のトレーサー粒子挙動を比較した。その結果,流体解析では,燃料の流れがバッフル板によって大きく阻害される挙動となり,一方の流体構造連成解析では,燃料揺動がバッフル板を変形させ,この変形が燃料の流れを変え,トレーサー粒子の最後端部の位置及び流れの方向が異なることを確認した。燃料揺動がタンク構造に作用する荷重の大きさと方向を高精度に予測
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