マツダ技報 2018 No.35
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(3)車両状態 -55- 1250777266412403281112234Fig. 18に示す実験と解析のタンク壁面残留変形量のように,車両状態のタンク壁面の膨らみ変形とへこみ変形がよく再現できることを確認した。 タンク周辺部品の構造物と干渉する車両状態での精度を検証するために,車両にMoving Deformable Barrierを後面衝突させる実験を行った(Fig. 17)。前述のスレッド実験と同様に燃料タンク下面の三次元形状の変形量を計測した。 以上の流体構造連成解析技術開発の結果,液体挙動,バルブ等の部品への荷重入力,燃料タンク挙動が高精度に予測可能であることから,本技術が次世代商品群をはじめとする車両開発へ適用可能であることを確認した。 ExperimentLower Pan次世代商品群では,流体構造連成解析を用いて,衝突時の燃料揺動によるタンク内のバルブへの入力荷重の大きさ,その方向,タンクの局所的な膨張,全体の挙動を予測し,燃料漏れ防止構造を設計段階で決定した。この結果,開発の最終段階における性能確認車による燃料漏れ防止に関わる設計変更要求がゼロにでき,計画どおりに市場導入することに貢献した。 次世代商品群の開発に,マツダが長年取り組んできたCAE技術と流体構造連成解析を組み合わせた新たな性能開発技術を適用した。この結果,優れた衝突安全性能を効率的に実現する燃料タンク構造を構築した。 マツダは理想の性能と品質を追求する有効な手段としてCAE技術を活用した車両開発を進めている。マルチフィジックス解析による現象解明と設計支援は,複雑な物理現象の領域において部門を超えた活発な共創を可能にしている。今後も積極的にCAE技術を開発し,マツダらしいクルマをつくる構想・詳細設計の要として,更なる進化とより良い商品の開発に取り組んでいく。 ■著 者■ 山内 一矢 小島 宏介 嘉村 浩二 花田 裕 Fig. 17 Configuration of Crash Test Fig. 18 Comparison of Deformed Fuel Tank Shapes -2-2-2-31110-3161581714111521221912Bulging deformation [mm]Contraction deformation [mm]-8-5-1-5-5-610141620252781915Simulation-4-4-2111010161792122120No.35(2018) マツダ技報 5. 開発への適用 6. おわりに

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