マツダ技報 2018 No.35
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)ii dI00011223344 -70- ABd( f eds troesonnorf-racgniltiltil1stand 2ndpeaks were found injector noiseedupmAedupmA 5.2 多段噴射によるINJノイズの発生メカニズム INJが作動した際の衝突力はインパルス波であり,低周波から高周波までの振動が一度に励振される。そのためINJ振動のレベルと周波数は,衝突力の大きさと構造共振で決まると考えていた。燃料を多段噴射する場合は,を考えると,INJが作動することで励振される800Hzと1,500Hzの振動は同位相で重ね合っており,INJが作動するたびに振幅が増幅していることが分かった。800Hzの模式図をFig. 19 (a)に示すが,問題の周波数は構造系共振と一致していることも分かった。 多段噴射でのINJノイズのメカニズムは,3回の燃料噴射が構造系共振を同位相で増幅させ大きなINJ振動を励振させる。これが高圧管やヘッドなどの共振特性と重なことで増幅され,大きなINJノイズになっていると考えられる。 すのに噴射間隔を調整した一例をFig. 19 (b)に示す。 これによりINJ振動を低減し,INJノイズを低減できると考えた。 これらの関係を関係式で表すと次のようになる。時間をt,1回目と2回目の噴射間隔をT1,2回目と3回目の噴射間隔をT2としたとき,3回目を噴き終わった後の角振動w/o NSS 5dB Fig. 17 Effect of Split NSS on MBC Vibration Single NSS Split NSS 2dB improvement (a)Signal for operating injector800Hz sine waves stimulatedby each operationSynthesizing the 3 waves above(b)Fig. 19 Diagram of Interference between 3 Sine Waves Stimulated by Each Operation of Injector 10dB200060004000Frequency (Hz)Fig. 18 Idling Noise on Developing Time (msec)Recognized injector noise800010000Initial intervalsAdjustedマツダ技報 INJ)の作動音が大きくINJノイズとして認知されることが分かってきた。このINJノイズは燃料を噴射する際に,制御弁がピエゾ素子で駆動され,高速で衝突することが加振力となり,INJ自体を振動させることで発生する。特にノック音や機械騒音の小さいアイドル時において,5.1 インジェクターノイズの概要 一方,DE車のアイドル車外音はインジェクター(以下,離すと低周波側ダンパーと高周波側ダンパーの反共振が重なり,場合によってはベースより悪化する(Fig. 15)。最大効果を得るため,3つの反共振を同レベルにするようダンパー周波数を設定した(Fig. 16)。 これにより,スプリットNSSはシングルNSSに比べて更に2dB改善し,ノック音低減につなげることができた(Fig. 17)。 レベルは小さいが耳に障る「異音」として認知される。このINJノイズは従来,6,000Hz以上の周波数とされてきたが,アイドル車外音のうち800Hzや1,500Hzの音がINJノイズであることが分かってきた(Fig. 18)。 従来,INJノイズの対応はコスト,重量をかけてINJ周辺の構造共振や放射部位を吸遮音して対応してきた。今回はINJノイズのメカニズムを紐解き,燃料噴射間隔(以下,噴射間隔)に着目してINJノイズ低減の検討を行った。 わずか数ミリ秒の間に複数回振動が励振される。これらの振動が“波の重ね合わせ”によって増幅した場合,INJ振動悪化の要因になり得ると考えた。 アイドル時には一度の燃焼に燃料を3分割して噴射している。このときの噴射間隔は,1回目と2回目が1.4ミリ秒,2回目と3回目が1.3ミリ秒であった。“波の重ね合わせ”5.3 噴射間隔最適化によるINJノイズの改善 このメカニズムに基づき,800Hzの構造共振を打ち消No.35(2018)IncreasedDecreased5. インジェクターノイズ低減

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