マツダ技報 2018 No.35
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- 新型エンジンでは,CO2を低減し,走り性能と静粛性を改善しながら,更なるエンジン排出NOX(以下Raw NOX)低減を実現した(Fig. 2)。横軸は各エミッションテストサイクルを走行エネルギーが低い順に左から並べている。 ③ モデルベース開発(MBD)の活用 -73- 容される。そのため欧州市場においては,市街地から高速道路まで全面的にNOX低減可能な技術が必要である。 前記の全面的なNOX低減と,SKYACTIV-Dの更なる進化を目指して,下記コンセプトにて開発に取り組んだ。 ① SKYACTIV-Dのコンセプトの進化 ‐ 人間中心の走りと更なるNOX低減 テムの開発 4.1 機能展開とモデル構築 NOX低減機能をエンジン側とSCR側で配分するため,Raw NOX,SCRへの流入ガス条件,SCR浄化効率について機能展開を行った。Fig. 3に示すとおり,多くの影響因子に支配される。 SKYACTIV-Dの強みである低NOX排出領域と,欧州特有の高回転高負荷領域でのNOX低減機能の強化を勘案して,高い排ガス温度域で優れたNOX浄化性能を発揮するUrea-SCRシステムを選択した。 Table 1 Emissions Regulation in Europe Fig. 1 Vehicle Speed vs Acceleration ② SKYACTIV-Dに最適な欧州市場向けUrea-SCRシス20162017StandardTest CycleEuro 6cNEDCNOx Standard(mg/km)Air Temp.(degC)Altitude8025±5-2〜below 3, 30〜35 (Extended)(m)2018Euro 6d-TEMP20192020Euro 6dWLTC/RDE80/168(CF2.1)3〜30 (Moderate)80/114(CF1.43)0〜30 (Moderate)-7〜below 0, 30〜35 (Extended)700〜1300m (Extended)0〜700m (Moderate)20212022Fig. 2 Raw NOX Potential of New Engine Fig. 3 Exploded Views of Function for NOX No.35(2018) 2.2 欧州市場における加速の強さ Fig. 1 に各エミッションテストサイクルでの,車速と加速度の関係を示す。Artemisは,欧州のさまざまな機関によるプロジェクトにより作成されたテストサイクルで,RDEの開発に広く活用されている。また過去,欧州市場走行データを解析した結果を併せてプロットしている。この加速度は常用での上限に相当するが,RDE(Artemis)の加速度は,これと同等レベルであることが分かる。 マツダ技報 RDE規制には,運転のアグレッシブ度合い(加速度の大小)を制限するために,車速に加速度を乗じた指標がガイドラインとして設定される。Artemisはこのガイドライン内にあり,更に激しい加速度も頻度によっては許しかし2章で述べたように,欧州市場での運転や環境因子のダイナミックレンジを考慮すると,更にNOXは増加する。更なるEGR増量や燃焼時期の遅角によるNOX低減は,今回実現した走り性能,静粛性及び燃費性能の低下につながる。これら商品性を妥協しないために,欧州向けにはNOX後処理システムを採用した。 3. 開発コンセプト 4. MBDによるNOX機能配分

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