マツダ技報 2018 No.35
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(Fig. 5)。 -80- l tesaeeRaeH善も実現した一番のブレークスルー技術が燃焼改善である。シリンダーヘッドの吸排気ポートと燃焼室の見直し, 燃料システムを高圧化することで実現した。特に吸気 ポートは,高出力化のための吸気抵抗の低減と,燃焼改善に必要な吸気流動の強化という二律背反の機能の両立を必要とした(Fig. 4)。 旧型では,強い筒内流動の生成に有利な独立ポートを採用していたが,新型では抵抗が低いコモンポートを採用し断面積を17%拡大した。面積を拡大しコモンポートにするとポート内の流速が落ち筒内流動の低下を招く。そのため,流れの指向性を強めるようにポート下部のエッジ角度をより寝かせ,ポートの分岐位置と断面積を最適化,更に吸気バルブ周りの燃焼室内の段差を排除する改良をすることで旧型比27%高いタンブル比を実現した加えて,圧縮工程中にタンブルを加速するようにピストン頭頂部を最適化した。その結果,燃焼期間の短縮に必要な圧縮上死点での乱流エネルギーを旧型比50%高めた。 燃料系は,2018年2月導入の新型CX-5から採用している高圧噴射システムを活用し強化したタンブル流と合わせミキシングを促進した。 筒内残留ガスの排出性を改善するために,排気ポートの形状を見直した。ガス流れの剥離を抑制することで有効断面積を拡大し,ガス流量を18%向上させポンピングロス低減と掃気性改善を実現した(Fig. 6)。 これらの効果により,燃焼期間を短縮し耐ノック性を大幅に改善した(Fig. 7)。 マツダ技報 Table 1 Specifications 3.1 燃焼改善技術 高回転域と低中速域のトルク改善の両立,更に燃費改 Fig. 4 Target Flow Performance Previous Flow separation -15.0Fig. 5 Charge Motion Previous Flow velocity Low Fig. 6 Gas Flow in Exhaust Port Combustion Period 0.015.030.0ATDC(deg) Fig. 7 Heat Release New Flow velocity High Low New High Previous 45.060.0New 3. ブレークスルー技術 No.35(2018)

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