マツダ技報 2018 No.35
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結果として,乗用車用の従来DMFと比較した場合は全体イナーシャが40%低減となる,ソリッドフライホイール同等の低イナーシャを実現した。 2次共振の周波数においては,トランスミッション側マスのイナーシャを最適化し低周波化を図った。トランス ミッション側マスの設計にあたっては,ハウジング内部 -82- ][lBd( level esoN]-[FRF 0 )i / AB de veL eru sse rP dnu oS 1stORDER2ndORDER102030Fig. 11 Drivetrain Frequency Comparison Engine speed(rpm)Fig. 12 Noise Improvement Comparison 40Frequency [Hz]506070Increase sound pressure from base sound line mainly around 3000rpm MT Base sound pressure is increased lineally corresponding to engine speed Engine Speed [rpm] Fig. 13 Exhaust Sound at Tail-Pipe 最適化を行った。 の風流れを考慮の上,クラッチ熱容量から必要最低限の追加マスとなるよう徹底した軽量化を施した。その結果,歯打ち音の応答レベルを旧型比で約75%の低減を実現した。本技術の採用により,旧型同等のパフォーマンス フィール性能を維持しつつ,静粛性の大幅向上を可能とした(Fig. 12)。 Damping improvement30004000badgood5000マツダ技報 ルな特性を余すことなく表現するように開発をした。 パワフルなサウンドの主体となるエンジンの次数音をクリアに奏でるため,ガスが排気管を流れる際に生じる高周波音を消音する吸音室を設定し音の質感を高めた。 回転数に応じてリニアに音圧が大きくなる排気サウンドを基本とし,ドライビング視点で音圧が大きくなる領域を設定した。日常の運転シーンではエンジン回転3000rpm以下の使用頻度が高いため,排気サウンドはエンジンの基本次数である2次を中心に3000rpm以下でもエンジン回転の変化が分かりやすいように,リニアリティを失わない範囲で音圧を上げた(Fig. 13)。 その結果,アクセルワークに対するサウンドのフィードバックが高まり,ドライバーはエンジンの状態をサウンド(聴覚)で的確に把握できるようになり,スムーズで正確なギアシフト操作が容易になる。また繊細なアクセルの踏み込みに対してもフィードバックが得やすく,前車への追従加速や交差点右左折の徐行などのシーンでも思いどおりのドライビングをサポートできるように開発した。 排気サウンドのフィードバック向上のために音圧を意図して高めたが,心地良いサウンド実現に向け,“ドライビングに必要な音圧”と“うるさく感じない音圧”の見極めと両立に注力した。ドライバーが意図して変速をするMT車と,車が変速するAT車では,能動的か受動的かの違いで「うるさい」と感じるレベルとシーンが異なる。MT車とAT車でそれぞれ使用領域を検証し,マフラーの拡張室/レゾネータのチューニングを変え,ベストな排気サウンドが体感できるように造り込んだ(Fig. 14)。 排気サウンドの繊細な調律のためには複雑な構造が必要となるが,ガスが流れる経路に直接掛からないように細心の注意を払い設計し排気損失の低減を図った。ガスNo.35(2018)―New(w/ Small inertia DMF)―Previous(w/ Single mass FW)Reduce 2ndORDERfrequencyRattle noise(3rd WOT)―New(Small inertia DMF)―Previous(Single mass FW)--Threshold (cognition level)100020003.4 排気サウンドの作りこみ 旧型の排気サウンドは,ロードスター用1.5Lエンジンと同様に,軽快な排気サウンドとしていた。新型では,ロードスター用1.5Lのキャラクターに対峙して,パワフ1000200030004000500060007000

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