マツダ技報 2018 No.35
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5 ABBil F -91- gndewoNrruboN71015FGBCDE 2.4 実腐食試験(複合腐食促進試験) 塩水噴霧6時間,乾燥3時間,湿潤14時間,送風1時間 2.2 試験片の調製 非めっき鋼板にリン酸亜鉛化成処理とエポキシ系電着 2.3 電着樹脂の架橋密度の測定 動的粘弾性スペクトロメーター(UBM社製,レオゲルE-4000)を用い測定を行った。塗膜樹脂の温度と粘弾性の関係から架橋密度を求めた。 を1サイクルとした繰り返しモードで試験を実施した。 <(a) Principle of measurement> <(b) Measurement equipment> Table 1 Details of Specimens Used in This Study Fig. 1 Principle of Measurement and Measurement Equipment BakingThickness(Crosslink density/ µm/ mol cm-3)150 oC × 20 min.(31×10-4)10140 oC × 20 min.(9.5×10-4)10140 oC × 15 min.(9.2×10-4)2030160 oC × 20 min.40(No data)2030Burrheight/ µmWeldingcondition20-4060-80140-16020-4060-80140-6020-4060-80140-60No burr10-40No.35(2018) 2.1 耐食性短期評価法の評価原理 塗装部の腐食は,防錆塗膜を腐食因子の水,酸素,塩マツダ技報 Paint type製品を効率的に開発,生産していくことが極めて重要である。塗装部の防錆品質は,市場での暴露環境以外に,材料,工法,工程条件など耐食性に影響する因子が多岐にわたり非常に複雑である。従来,これら複雑な因子の制御を実腐食試験で腐食環境に長期間暴露後の発錆状況を定性的に確認していたため,防錆品質の造り込みには莫大な開発期間が必要であり,評価も最悪条件の代表的な組み合わせに限定され,高い防錆品質を確立する上で大きな課題であった。また,生産現場で対象物の耐食性を簡便に評価することはできなかったため,効率的かつ高精度な品質管理も難しかった。そこで,品質の効率的な造り込みとその管理技術の構築を目的に,塗装部の腐食原理に基づき耐食性を定量的,かつ極めて短期に評価できる技術を開発,実用化した。本報では,この新規開発した塗膜耐食性短期評価技術の評価原理,材料開発や被塗物の制御技術開発に対する有効性と活用事例を報告する。 素イオンなどが透過して,基材に到達することで発生すると考えられる。この腐食原理に着目し,防錆塗膜の腐食因子遮断性を評価した。Fig. 1に評価原理と試験装置外観を示す。塗装面上に腐食因子として塩水を保持して電圧を印加した。防錆塗膜に腐食因子が浸透して基材に到達すると電流が流れる。あらかじめ設定した電流に到達した時点の電圧値を測定し,防錆塗膜の腐食因子遮断性の指標とした。測定された電圧値が高いほど,塗膜中を腐食因子が透過し難い,つまり防錆塗膜の腐食因子遮断性が高い。以降,腐食因子遮断性は電圧値で記載する。 塗装(防錆塗膜)を施した。化成処理条件は全ての試験片で同一とした。耐食性への影響が考えられる材料の影響因子として,電着塗装の膜厚と膜質を変化させた。膜厚は5µm~15µmと変化させ,焼付条件を140 oC×15 min.~160 oC×20min.と変化させ,電着樹脂の架橋密度を制御して膜質を変化させた。また,被塗物の影響因子として,鋼板切断面のバリ高さ(20µm~160µm)や溶接条件を変化させ,併せて電着塗料の種類や膜厚(平面部:20µm~40µm)を変化させた(Table 1参照)。これら試験片を用いて評価法の有効性について検証した。 2. 実験方法

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