マツダ技報 2019 No.36
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マツダの内燃機関は,2011年のSKYACTIV元年に30km/Lを実現したSKYACTIV-G1.3の発表を皮切りに,理想の内燃機関及び究極の燃焼の姿を目指して,ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの 理想をかざして,それを実現するというのは,なかなか難しい。一歩踏み出したとたんに,あちらを― 1 ― マツダ技報は2019年で第36回の発行となる。2012年にSKYACTIV技術を全て採用した車両が商品化されて以来,究極の姿を描きそれに向けてたどってきた技術進化の道程が,マツダ技報へ刻まれてきた。そして今回は,大きなステップアップを図る新世代商品群の第1弾「新型MAZDA3」と「新世代商品群の生産技術」を中心に,商品,技術,生産に関してマツダならではの取り組みを特集した。 No.36(2019) マツダ技報 の心を元気にすることを追究し続けていくことを宣言した。地球環境保全の観点からは,真に温室効果ガスの削減を図るため,クルマのライフサイクル全体でのCO2削減に取り組む必要がある。具体的な目標は,Well to Wheelの企業平均CO2を2050年には2010年比90%削減を睨み,その中間目標として2030年時点で50%の削減を目指すことを宣言している。2030~35年でも乗用車の80%以上は何らかの形で内燃機関が関わり,そしてその絶対数も増加する予測である。自動車の動力源の主流は将来にわたっても内燃機関であり,内燃機関の効率改善こそが地球規模での環境保全に大きく貢献できることを謳っている。 両面から実現を図ると宣言し邁進している。内燃機関の7つの制御因子を定め,それらを最終的には理想状態とすることで,燃料によらず究極の内燃機関を目指す。ロスを最小にしてタイヤへの駆動力をねらいどおりに伝達するためのドライブトレインの開発,そして,ブレーキなどで捨てているエネルギを回生するシステムから始めて,Well to Wheelの観点で真にCO2低減に貢献する地域や,法規で必要な地域を中心とした活用を図る電気自動車まで,合理的な順序で電動化開発も進めている。 立てればこちらが立たずという多くの技術課題にすぐにぶつかる。そこには先人たちが構築した理論や常識の制約が存在する。まずはここの理屈を理解した上で,よく疑い,考えてみることから始める。一足飛びには行かないことは容易に想像できる。ではSTEPに分ければどうだろう。実現できるような気執行役員 中井 英二 Eiji Nakai 巻頭言 2017年の8月8日に技術開発の長期ビジョン「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言2030」を公表し,私たちマツダは美しい地球と心豊かな人・社会の実現を使命と捉え,クルマの持つ価値により,人日常を豊かにする技術とモデルベース開発 Technologies and Model-Based Development that Improve the Quality of Human Life

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