マツダ技報 2019 No.36
103/321

-94- Fig. 16は先述のスロープ路面を乗り上げた際のシート Fig. 13 Lower Control Arm Angle 4.6 ばね・ダンパーで入力を滑らかにする(d) 車体に入る入力を滑らかにするために,サスペンション5. 達成状況 Fig. 14 Wheel Center Displacement Fig.15 Comparison Strut Mounting Rubber Spring Rate (Az)の加速度を示す。新型MAZDA3は,前後方向と上5.1 コーナリング中の骨盤と上体の挙動 新型MAZDA3では,運転中も歩行時と同じく,骨盤とFig. 17 は,第二/第三胸椎関節(T2-T3),第二/第三of Previous and New MAZDA3 Fig. 16 Floor Acceleration Fig. 17 Roll & Yaw Angle of Articular にも新たな考えを織り込んだ。ロアアーム角を常に下向きとすることで,タイヤからの入力を,アームを介して早期に車体側に伝えるようにした(Fig. 13にロアアーム角度部位を示す)。 タイヤから入る入力の位相を揃えて,素早くばね・ダンパーに伝える施策について,実車での確認結果を述べる。Fig. 14 は高さ30mmの段差に設置されたスロープを時速10km/hで乗り上げた際の車両側面から見たホイールセンターの軌跡を示す。新型MAZDA3は,入力の大きさによらずホイールセンターが常に上向きに動き,初期からばねとダンパーに入力を伝達させていることが確認できた。 をスムーズにストロークさせ,入力が入る早期からダンパーによる減衰を活用する。そのため新型MAZDA3ではフロントストラット式サスペンションのばねの配置と位相を左右それぞれで最適な方向に定め,ばね反力によってダンパーに加わる横力を低減させた。その結果,サスペンションがストロークする際のダンパートップに入る横力を前モデルに対して半分以下に低減することができた。 またサスペンションのスムーズなストロークを目指し,フロントストラットマウントはダンパーロッド軸のこじり方向のばね定数を下げるとともに,タイヤの位置決め機能を高めるためにダンパー軸直方向のばね定数が高い新構造のマウントを開発した。Fig. 15に新型MAZDA3と前モデルのストラットマウントラバーの特性差を示す。左右方向,前後方向のばね定数を上げ,位置決め機能を高めながら,こじり(γ)方向の特性を大きく低減した。 取り付け部における車体の前後方向(Ax),上下方向下方向の加速度の位相が一致し,加速度変化が滑らかになっていることが確認できた。 上体を逆相に動かすことで身体のバランスを取り,頭部の動きを安定させることを目指した。 操縦安定性を評価する社内のテストコースで,緩やかなコーナーを走行中の人体挙動について慣性式モーションキャプチャーを用いて測定し,各関節角度を算出した。腰椎関節(L2-L3)のロール角とヨー角の時系列変化を示す。新型MAZDA3は,胸椎部と腰椎部の関節角度がロール,ヨーともに逆方向の動きを示した。 このように,運転中も歩行時と同じく,骨盤と上体が逆相に動いていることが確認できた。 マツダ技報 No.36(2019)

元のページ  ../index.html#103

このブックを見る