マツダ技報 2019 No.36
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特集:新型MAZDA3 15 *5~6 マツダE&T 操安・NVH性能開発部 *1~3 NVH性能開発部 *4 車両実研部 Development Dept. -96- Quietness Development for All-New Mazda3 新型MAZDA3の静粛性開発について when they are in a quite space. In the new Mazda3, we explored the mechanism how human beings sense sound, and realized the NV performance that is appropriate to the next generation vehicles by pursuing not only just “quietness”, but also “high-quality quietness”. Based on the concept that sound direction and settlement as well as loudness are important elements for sound recognition, we set a new development index and target regarding temporal alteration in addition to the current loudness and sound direction. We established concepts of sound source, vibration transmission and air transmission to control them and using of New Construction and material to achieve the target, and realized “high-quality quietness” in cooperation with the related departments. Evaluation, Optimization Technique NVH Performance Development Dept.v Chassis Dynamics & NVH Performance Vehicle Testing & Research Dept. Summary We would like occupants to enjoy relieved and fulfilling drive with recognition of exterior noise even Key words : Vibration, Noise, and Ride Comfort, Quietness, Sound, Quality Evaluation/Ride Comfort 要 約 伊藤 肇*1 Hajime Ito 大森 和也*4 Kazuya Omori 富士田 拓也*2 Takuya Fujita 石塚 勝*5 Masaru Ishizuka 黒川 将*3 Sho Kurokawa 上田 高裕*6 Takahiro Ueda 静かな空間の中にも,乗員が車外の状況が分かることで,安心して充実したドライブを楽しんでいただきたい。新型MAZDA3では,人が音を感じるメカニズムを探求し,単に「静かな」だけではなく「質の高い静粛性」を追求し,次世代にふさわしいNV性能を実現した。 人は,音の大きさだけではなく,音の到来方向や音が減衰する時間にも大事な要素であるとの考えの基,これまでの音の大きさや到来方向に加えて,時間変化に関わる新たな指標を作成した。目標実現のため,音源の低減,振動伝達特性や空気伝ぱ音の改善に関して,それぞれをコントロールするための考え方を決め,新たな構造や材料を駆使し,関係部門と共創することで「質の高い静粛性」を実現した。 静かな車室内空間であっても,運転に必要な情報,例えば路面が変化した時や緊急車両が接近した等といった,車の外の状況が分かることで,安心して充実したドライブを楽しんでいただきたい。本稿では,人が音を感じるメカニズムを探求し,それを具現化するための考え方とその実現手段について報告する。 新型MAZDA3では,CX-5以降で実現した音圧レベルや音の到来方向以外にも,人が感じる音の時間変化に着目し,それを見るための指標作成を行い,開発指標を決めた。 れた路面での静粛性」の指標を用いて2軸で表し,開発を行ってきた。この静粛性指標は,「定常現象」を対象としている。しかし,一般的な走行環境下では,路面が時間とともに変化する「過渡現象」が起こっており,従来の指標ではその変化が表せていない。新型MAZDA3の静粛性開発では,路面変化により乗員が予測しているとおりに車室内の音を変化させることで心地よい静粛性を実2.1 走行時の路面変化の指標化 これまでの静粛性は,「高速走行時の静粛性」と「荒1. はじめに 2. 質の高い静粛性の指標化 マツダ技報 No.36(2019)

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