マツダ技報 2019 No.36
106/321

-97- Fig. 1 Road Surface Change from Smooth Road to Coarse Road Fig. 2 Road Surface Change from Coarse Road to Smooth Road 質な車室内空間をお客様に提供することを目標として開発した。従来の開発では,会話明瞭度を開発指標として,乗員耳位置での音圧レベルの低減や局所的な音を抑えることで静粛性を向上させてきた。しかし,市場での走行シーンでは,時々刻々と変化する風を受け,バサバサという耳障りな音(風変動感)を感じており,従来の指標では,その音の変化を表現できていない。新型MAZDA3の風騒音開発においては,人が感じる音の時間変化に着目し,新たな指標化に取り組んだ。 まず,走行時乗員耳位置での音の時系列データを計測し,同時にエキスパートによる聴感評価を実施した。 その結果,音圧レベルが時間的に大きく上昇する場合に変動感を感じることが分かった(Fig. 3)。次に,走行時の音圧レベルの変化量と,聴感評価点数に相関性があることが分かり,走行状態での変化量の閾値を決めた続いて,時々刻々と風が変化する環境では開発が困難なため,安定した送風条件下で評価可能な風洞で指標化を行った。走行時の音圧レベル変化量と相関性のある風洞の特性を検討した結果,正対風と横風時の音圧レベル変化量の相関が高く,これを開発指標とすることに決めた(Fig. 5)。 2.2 風変動感の指標化 新型MAZDA3では,高速クルージング時においても上(Fig. 4)。 Fig. 3 Temporal Variation of Sound Pressure Level Fig. 4 Index of Wind Turbulence on Smooth Road マツダ技報 No.36(2019) 現できると考えた。 そのためには,路面が変わった時,路面からの入力エネルギーと,車室内の音の変化量の一致性を見ることで表すことができると考えた。具体的には,一般的な走行における路面変化には大きく2種類ある。それは,①スムーズな路面から荒い路面への変化。②荒い路面からスムーズな路面に変化した時があり,これらについて新たな指標化に取り組んだ。①は,タイヤからの振動エネルギーと車室内の音の変化量の一致性(Fig. 1)。②は,タイヤからの放射音エネルギーと,車室内の音の変化量の一致性(Fig. 2)で表し,これらを開発指標とすることに決定した。

元のページ  ../index.html#106

このブックを見る