マツダ技報 2019 No.36
107/321

-98- Fig. 5 Wind Turbulence Threshold at Wind –Tunnel 3.1 路面変化の低減 (1)スムーズな路面から,荒れた路面に変化した時 Fig. 6 Nodal Mount Fig. 9 Adhesive for Damping Fig. 10 Damping Stiffener 走行中にスムーズな路面から,荒れて路面に変化した時のロードノイズは,タイヤが受けた路面からの入力エネルギーが,サスペンションや車体骨格を伝達し,車室内に面するパネルから音となって放射されて乗員耳位置まで届く現象である。新型MAZDA3では,サスペンションから車体への入力と,車体に入力を与えた時の音の成り易さを表す車体音響感度に対して,ロードノイズ低減の考え方を決めて,質量効率を高めた構造にした。 ①サスペンションからの入力低減方法 フロントストラット形式のサスペンション主要モードにおいて,サスペンションの車体側取り付け部が節となるように部品形状をコントロールしている。具体的にはモードの主要ばね要素であるフロントナックル首部において,断面2次モーメントをコントロールしてモードにおける変曲点(a)を設けることで,フロントナックルからロアアームへの入力(b)を最小化させた。これにより,サスペンションから車体へ入る入力を低減した(Fig. 6)。 ②車体音響感度の低減方法 車体音響感度を低減させるためには,各パネルの振動レベルを低減させる必要がある。新型MAZDA3の開発においては,効率的に各パネルの振動レベルを低減させるために,サスペンションの車体取り付け部の剛性を向上させることで,車体に伝わる振動を低減させた。また,車体の骨格からパネルへと伝達する振動エネルギーを熱3. 実現手段と達成性能 マツダ技報 a.サスペンション取り付け部の剛性を向上 Fig. 7 Optimization of the Reinforce Structure Fig. 8 Body Stiffness of TBA Attachment b.減衰活用による振動エネルギーの低減 エネルギーに変換させることで振動を低減させた。 リアサスペンションからの主要入力点であるトーションビームアクスル取り付け部の剛性を,従来の同形式のサスペンション車に対して向上させた。具体的にはリアフレームの共振モードを元に,フレーム内の最適な場所を抽出し,節形状を適正化した(Fig. 7,8)。 サスペンションから振動エネルギーが入った時の車体の歪エネルギーを分析し,高歪エネルギー部位への減衰材の追加による振動低減を行った。具体的には,フロアなどの接合部における高歪エネルギー部位には減衰接着剤を適用し,フレームの断面変形が大きい所には減衰節を設定した(Fig. 9,10)。 No.36(2019)

元のページ  ../index.html#107

このブックを見る