マツダ技報 2019 No.36
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(b)ベース層の目付を低減し通気を拡大 (3)スムーズな路面を走行した時 は7割も透過損失が悪化する(Fig. 12)。新型MAZDA3-99- 3.2 風変動感の低減技術 風変動感の発生メカニズムは,車両廻りの気流の乱れ(2)荒れた路面からスムーズな路面に変化した時 Fig. 13 Structure of Extractor Aeration Part MAZDA3では設計や生産部門と協力し部品の組付け方法Fig. 14 Floor Panel Area Comparison Rear Wheel House Area MAZDA3では更にフロアーマットの吸音機能を向上させMAZDA3のフロアーマットは, (a)カーペット表皮は現状と同じ密度 (c)基材部では厚みを確保し密度の低減 Fig. 11 Composition of Mat Fig. 12 Relationship Between the Performance of Sound Insulation and Aperture Ratio れらの相反する機能を満足することができる構造が必要である。新型MAZDA3では,エキストラクターからの経路を管状に囲うように吸音材を配置する,新たな音低減構造を開発した。音を効率よく低減させるためには経路が狭く複雑な構造が良く,一方で空気は経路が広く直線的な構造の方がとおりやすい。そこで,音が低減しやすいように経路の断面積を小さくし,かつ空気の流れを妨げにくい直管形状とすることで,空気を十分に通しつつ侵入音を低減させる構造を実現した(Fig. 13)。 ②音響的な穴 部品の兼ね合いやスペースの都合で,ボディパネルを内装材で覆えていなかった場合,その分の透過損失が低くなってしまう。それを音響的な穴と定義した。 特にフロアパネルエリアの中央部で覆えていない部分が多く,透過損失が低くなっていた。そこで,新型の見直しを行うことで,ボディパネルに対して内装材で覆えていない面積を,AXELAに対してフロアパネルエリア全体で13%から6%に低減した(Fig. 14)。 (渦)で生じる音源(空力騒音)が時間的に変化し,この音源が車室内に伝搬するためである。音源を低減するには,マツダ技報 No.36(2019) 荒れた路面からスムーズな路面に変化した時に,車室内に入った音の収まりを良くするために,従来は吸音機能をトップシーリングのみに付加してきたが,新型た。マットの吸音機能を上げるためには,カーペット表皮の密度を上げる手段があるが,質量や運転操作性の相反特性から厚みを抑制しなければならない。新型を行うことでマットの吸音機能を上げた(Fig. 11)。 スムーズな路面における車室内の音については,空気伝ぱ音を車室内へ伝えにくくすることが重要であり,透過損失(音の反射)をコントロールした。透過損失は,部品単体でいくら高めても,組みつけや他の部品とのスペースの兼ね合いで穴隙が発生してしまうと,10%の場合では,「穴隙ゼロ」という考え方の基,それを2つに定義分けし開発した。 ①機能上必要な穴 車両には車外と車室内が直通しているが,機能上必要な穴が存在する。代表例として,車両後方にはエキストラクターと呼ばれる車外と車内が直通する穴が存在する。このエキストラクターは,空調で車室内へ入った空気を車外へ出し,ドアを閉める際に室内へ押し込まれた空気を車外へ出す役割を担っており,車の機能上必要な穴ではあるが,音の侵入経路にもなってしまう。従って,こ

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