マツダ技報 2019 No.36
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-100- (1)Aピラー:圧力勾配の上昇抑制 (3)カウル:剥離領域の流量低減 Fig. 17 Vorticity Distribution in Cowl and Wiper Section CFD(Computational Fluid Dynamics)を用いて検討Fig. 18 Aerodynamic Noise Distribution around Vehicle 3.3 新型MAZDA3の達成状況 それぞれの横軸に,従来の開発指標,縦軸には新たに(1)スムーズな路面から荒れた路面への変化 Fig. 19 Noise Change from Smooth to Coarse Road (Fig. 15)。 Fig. 15 Vorticity Distribution Around A-pillar (2)ドアミラー:剥離領域の等速化 Fig. 16 Vorticity Distribution behind Door Mirror 発生する渦を抑制する必要がある。渦の発生そのものを抑制することで時間的な変化代も低減する。そのため,流れ制御の考え方に基づいて車両の各部位の適正化を実施した。 今回,車室内の音に対して寄与が高い(1)Aピラー,(2)ドアミラー,(3)カウルの音源低減事例を以下に示す。 下流に向かって圧力が増加する過程で流れがAピラーより剥離し渦が発生する。この圧力変化,すなわち圧力勾配が急になるほど剥離しやすくなるため圧力勾配を緩やかになるようにAピラー形状のRや段差を適正化し,流れを制御することで,渦の発生を抑制し音源を低減したドアミラーの後方で発生する渦は後端のせん断や巻き込みによって発生する。この流れのせん断や巻き込みを 制御するために,ミラー後端の速度差を減らすようにミラー外周部の形状を適正化し,流れを制御し音源を低減した(Fig. 16)。 ボンネット後端での剥離によりカウル内で渦(a)が発生し,更に流れがワイパーに衝突することにより渦(b)が発生する。このため,ボンネット後端位置,ワイパーレイアウトの適正化により,カウル部へ流入する流量を制御することで渦の発生を抑制した(Fig. 17)。 各部の流れを制御するための形状因子を簡易モデルのした。これで得られた各部因子をデザインに適用して,渦の発生を低減する流れ制御を実現した。これにより,音源のエネルギーをAXELAから約30%低減することができた(Fig. 18)。 決めた各開発指標での達成状況を示す。 横軸に,荒れた路面を走行した時の車室内の音圧レベル。縦軸に,スムーズ路面から荒れた路面に変化した時の一致性を示す。新型MAZDA3はAXELAに比べ両軸の指標とも向上させた(Fig. 19)。 マツダ技報 No.36(2019)

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