マツダ技報 2019 No.36
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-105- 4. 新型MAZDA3のCd低減効果 Fig. 9 Flow of Engine Room 3.3 流入空気量制御技術 新型MAZDA3では,ラジエーター全面にAASを設定しを6段階まで細かく制御することで,緻密にエンジンルーFig. 10 Control Air Flow with AAS Previous Model All-New Mazda3 Fig. 11 Visualization of Kinetic Energy Loss Fig. 12 Comparison of Kinetic Energy Loss between Previous Model and All-New Mazda3 で7%,セダンで11%低減させることができた。その結果,Fig. 13 Aerodynamic Drag Coefficient of All-New Mazda3 and Competitors (Hatchback) 前章までに述べた制御技術及びマツダ技報No.35(2018)で述べた技術を新型MAZDA3へ適用することにより,ボディーサイド・アンダーフロアの風流れの運動エネルギーの損失量を低減させた(Fig. 11,12)。 これにより,後流渦の低減が実現でき,上記ボディーサイド・アンダーフロアを合わせた車両全体の風流れの運動エネルギーの損失量を旧型アクセラと比較しハッチバック空気抵抗係数(Cd値)はクラストップレベルを実現することができた(Fig. 13,14)。 マツダ技報 No.36(2019) 排気管周囲も同様に,エンジン上部に設定する見栄えカバーを拡大し,通風抵抗を下げ,直接に風を排気管へ送る。更にスプラッシュシールドカバーを設定することで,エンジンルーム内の圧力分布を変え,冷却風が排出される場所をトンネル部へ集中させ,熱源である排気管や周辺部品を効率的に冷却できるようにした。 このように,少ない風量で効率的に冷却することで,エンジンルーム内での風流れの運動エネルギーの損失量を低減した。更に,冷却風を排出する際に発生する混合渦による,風流れの運動エネルギーの損失量を低減させるために,トンネル部にアンダーカバーを設定し,冷却風の排出方向をアンダーフロアの流れと合わせることで,冷却風とアンダーフロア流れにより生じる,風流れの運動エネルギー損失量を低減させた(Fig. 9)。 た。ハーフタイプからフルタイプのAASにすることで,エンジンルームへの導入風量を40%まで低減を可能とした。これにより,冷間時の暖機中に冷却水が回っていない段階で,不要な取り込み風量を低減し,暖気中の風流れの運動エネルギーの損失量を大幅に低減させた。更に,開度条件ムへ取り込む風量を調整し,常にエンジンからの必要最少風量に制御することを可能とした(Fig. 10)。

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