マツダ技報 2019 No.36
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it ]areeceDR2 = 0.8024 ]2s/m [ l N[ pGR2 = 0.9459 nopF※1 マグニチュード推定法 -108- 2.2 人間中心で導いた踏力-減速度特性 ドライバーはクルマを減速させるとき,知覚情報から目Fig. 1 Image of Braking Pattern (1) 人間にとってリニアな入力と出力の関係 Jerk Braking Unstable Braking Smooth and Stable Braking Gt [m/s2] Fig. 2 Relation between Gt and Gp Ft [N] Fig. 3 Relation between Ft and Fp Fig. 4 Driver-Vehicle Model (2) 適切な踏力と減速度の勾配 𝐺𝑡=𝐴∗log⁡(Ft)+B ライバーに良く効くという印象を与える半面,微小な調節には神経を使う状態なっている。特に,駐車場や渋滞した交通流での車速調整や停止時に,思いがけず強いブレーキがかかってしまったり,思ったところに停止できなかったりするため,ドライバーがこのような緻密な操作をしようとすれば心理的にも身体的にもストレスを感じる。新世代商品群では,この点を改善するために,人間がペダル操作力や減速度をどのように感じているかを研究し,ドライバーの操作に対して意図したとおりの減速度変化を発生し,また身体が自然にバランスをとれるような減速度を発生させるブレーキとすることを基本とした。 標物(停止線や前走車,障害物など)との距離の変化をコントロールしようと,ブレーキペダルを操作する。この時,ドライバーの制動初期のペダルの操作量は,経験からの予測で決まり,過不足があれば操作量を調整する。この過不足をできる限り小さくするために,以下のステップでブレーキの特性を定めた。 まず,実際の減速度Gtと人が感じる減速度Gpの関係を,マグニチュード推定法(※1)で調べた。助手席に乗せた被験者に基準となる減速度を体験させた後,基準とは異なる複数の減速度を体感させ,それぞれの減速度を基準の何%に感じたかを答えさせた。これを人間が感じる減速度Gpとし,同時に計測した実際の減速度をGtとして,GpとGtの関係を得た。例としてFig. 2に一人の被験者の結果を示す。 次に,実際のペダル踏力Ftと人間が感じるペダル踏力Fpの関係を調べるため,運転席に座った状態でのペダル操作感覚を再現できるペダルシミュレーターを制作し,被験者実験を行った。ある基準となる踏力でペダルを踏ませ,その後基準に対して0.5から2倍の範囲で指定した踏力でペダルを踏むように指示し,同時に実際の踏力を計測しFpとFtの関係を得た。例としてFig. 3に一人の被験者の結果を示す。 被験者に基準となる刺激を与え,これとの比較で比較対象となる刺激の感覚的な大きさを数値で推定させる方法 これらの結果から,人間は加速度を物理的な加速度に対して指数関数的に感じ,一方でペダル踏力については物理量と感覚量は直線的な関係になっていることが分かった。よって,人間が感覚的にリニアと感じるペダル踏力Ftと減速度Gtの関係は以下の式で表される。 なお,本研究で行った全ての被験者実験は,試験開始前にインフォームドコンセントを得て行っている。 踏み始めのペダル踏力と減速度の勾配の適正値を検討するために,人間特性を組み込んだシンプルなドライバー-車両モデル(Fig. 4)を構築し,ドライバーがコントロールしやすい減速度の立ち上がり勾配を調査した。 マツダ技報 No.36(2019)

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